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吃音症・どもりについて

「ことばを繰り返す」ことに気付いた親御さんへ

吃音(きつおん:どもり)は2~4歳の間に、人口の5%(20人に1人)に発症します。3歳児健診のときは、約3%(約30人に1人)の割合で存在します。ことばの繰り返し(連発性吃音)、引き延ばし(伸発性吃音)、始めの一音がなかなかでない(難発性吃音)の3種類があります。なめらかに話すことができない病気と言われています。難発性吃音は3歳児健診の時は少なく、時間がたつうちに生じていくものです。

下図は正常範囲と吃音の特徴を示しています。明確に吃音とわかるのは、語頭の一語を繰り返したり、引き延ばしたり、始めの一音がなかなかでないときです。

 

正常範囲

吃音

特徴

1歳半~6歳

2歳以降

あの、えーと、などを使う(挿入)

ボ、でんしゃに乗りたい(言い直し)

ボール、ボールで遊ぼう(語の繰り返し)

が多い。

ボ、ボ、ボ、ボール

(語頭の一語を繰り返す)

おーーーかあさん(引き伸ばし)が多い

始めの一音がなかなか出ないこともある

 

しないでほしいこと

話し方のアドバイスをする (ゆっくりと話して、落ち着いて、深呼吸して、など)

早口のときに、どもる量が増えます・したがって、ゆっくり話せばどもる量が減るのではないかと考え、ほとんどの親が「ゆっくり話しなさい」と話し方のアドバイスをしてしまいます。

しかし、発話の未熟な幼児には、ゆっくり話すことはできません。そのため、親の期待に応えられない自分に劣等感を感じてしまうことが多くあります。

しかし吃音は親が悪いから発症するのではありません。吃音の40%は急性(1~ 3日)に発症するものです。子どもがどもっていても、親が落ち着いて、ありのままのわが子を受け入れてほしいです。

どもったら言い直させる

言い直させられ、どもらず言えると、言い直しが効果あるのではないかと勘違いする人もいます。しかし、良い直しにより、吃音が治ることはなく、逆にストレスを与えます。

子どもの話し方を真似する

かわいい自分の子だから、どもってもかわいいと思う親はいます。しかし、わざとしているわけではないのに、真似をしてからかうことは、幼い心でも傷つきます。大人になっても「真似してほしくなかった」と鮮明に覚えている人もいます。

吃音は治るの?

ことばの繰り返しが始まり、男児は3年で60%、女児は80%が自然と治ります。

しかし、家族に吃音がある場合は、自然と治る確率が下がります。成人になっても吃音が持続する人が人口の1%(100人に1人)は存在します。その割合は、国や文化、人種が異なっても、ほぼ同じ割合です。吃音が残っても、周りの人の理解があれば、どんな職業にも就くことができます。
※吃音を急激に止める治療法はありません。

もし、吃音が半年以上続いている場合は、保健所(福祉保健センター)、母子保健センターなどに問い合わせて、言語聴覚士に経過をみてもらうことをお勧めします。

出典:菊池良和著『吃音のリスクマネジメント』学苑社

 

家族の方へお聞きしたいこと

吃音に初めて気づいたのはいつですか?

 歳 ヶ月

急に(1~3日)発症しましたか?徐々に(1週間以上)発症しましたか?

急に 徐々に

親戚や家族に吃音のある人がいますか?

はい いいえ

思い当たる吃音の原因がある(具体的に:          )

はい いいえ

子どものことばがつっかえていると、責められている感じがする

はい いいえ

親の前で苦しそうに話した経験は、子どもが将来覚えていると思う

はい いいえ

子どもが

話し方を気にする(例:「口がうまく動かない」「つっかえる」「もう話せない」「何か喉が蓋をされる」と言う)

はい いいえ

助けを求める(例:「上手に話せない」「医者に診てもらいたい」「お薬ちょうだい」)

はい いいえ

困った表情をする(例:ため息、親の顔を見る)

はい いいえ

つっかえたら、話すのをやめる。話す場面を回避する

はい いいえ

我慢ならない様子(例:どもると、「いつもダメだ」と言ったり、頭を動かす)

はい いいえ

発音が間違っていたり、不明瞭で聞き返すことが多い

はい いいえ

この1週間で、一番長い吃音の時間はどのくらいでしたか?

   秒

どもるときに、顔に力が入ったり、手足でタイミングを取ったりする

はい いいえ

子どもと2人でじっくり話す時間がない(きょうだいは本人含めて  人)

はい いいえ

子どもをあまりほめない

はい いいえ

子どもが話したことばを、意識して、復唱やわかりやすいことばで言い換えない

はい いいえ

子どもがことばにつっかえていると、ゆっくり、落ち着いて、深呼吸してなどのアドバイスをする

はい いいえ

ことばがなかなか出ないので、言いたいことばを先取りして、言っている

はい いいえ

ことばがつっかえることを、子どもが友達にからかわれている

はい いいえ

目の前で子どもの吃音を真似を友だちがしていたら、何と声かけますか?

(                                    )

「なぜことばがつまる(繰り返す)の?」と、子どもから質問されたら、どう応えますか?

(                                    )

先生に吃音のことは、どうやって伝えますか?

(                                    )

出典:菊池良和著『吃音のリスクマネジメント』学苑社

 

幼稚園・保育園の先生へ

吃音症(どもり)について

吃音(きつおん)は2~4歳に5%(20人に1人)の割合で発症しますが、約4割の子が3歳児健診以降に発症します。そのため、幼稚園・保育園の先生が相談される機会は多いでしょう。

発症後4年で、74%の子が自然回復しますが、吃音の家族歴がある子、男の子は回復する確率は減ります。親の育児方法や園の接し方が発症の原因ではありません。吃音は言語の発達過程で生じてしまうものであり、世界中同じ割合で発症しているのです。

新学年、新学期には吃音の症状が一旦増えますが、時間とともに軽減することが多いです。幼稚園・保育園の先生に一番してほしいことは、子どもたちへの吃音の説明や、吃音の真似をしている子がいたらやめさせてほしいことです。歌や2人で声を合わせると、どんな子でも吃音は消失します。

吃音の進展段階
 

吃音症状

心理的な負担

第1層

・お、お、お、おかあさん(連発)

・おーーーかあさん(伸発)

第2層

・・・・・おかあさん(難発)

・顔や首に力が入る、手や足でタイミングを取る(随伴症状)

先生ができること
  1. 吃音のからかいをやめさせる(少しの真似でも、傷つく)。クラスで吃音のからかいがあったら報告させる
  2. 話すのに時間がかかっても待つ
  3. 話し方のアドバイスをしない(ゆっくり、深呼吸して、落ち着いて、など)→効果がなく、逆にプレッシャーになる
  4. 2人で声を合わせて話すと、吃音が消失することを知っておく
吃音の説明ロールプレイ

先生「〇〇くんは、ことばを繰り返したり、つまったりすることがあるけど、それを真似したり、からかわないように。もし真似する人がいたら、先生まで教えてね」

幼児「なんで真似してはいけないのですか?」

先生「わざとしているわけではないから」

幼児「うん」とうなづく(先生はほめる)

先生の一言が非常に効果があり、子どもは助かります。

出典:菊池良和著『吃音のリスクマネジメント』学苑社

学校の先生へ

吃音症(どもり)について

吃音(きつおん)は、しゃべることばに連発(ぼ、ぼ、ぼ、ぼくは)、伸発(ぼーーーくは)、難発(……ぼくは)などが起きて、滑らかに発話できないことを指し、100人に1人は吃音があります。2011年に吃音のあるイギリスの王ジョージ6世の映画『英国王のスピーチ』がアカデミー賞を受賞したことで有名になりました。

吃音は、言語発達の盛んな2~4歳ころに発症するもので、原因はまだ特定されていません。吃音の治療法はまだ確立されていませんが、吃音によるいじめなどがなければ、年齢を重ねるにつれ、自然と軽減していくものです。

精神的な弱さは吃音の原因と誤解されることがありますが、先生が精神的に強くしようとしても治すことはできません。吃音は最初のことばで発生することがほとんどであり、2人以上で声を合わせる(斉読)ことや歌では、吃音は消失します。

 

連発
(最初のことばを繰り返す)

難発
(最初のことばが出るのに時間がかかる)

苦手な場面

本読み、発表、劇、健康観察、日直、号令、自己紹介

得意な場面

友達との会話、得意な話をするとき

困ること

真似される、吃音を指摘される、笑われる

・「早く言いなさい」とせかされる

・答え、漢字がわからないと誤解される

・一生懸命話そうとするが声が出ない

先生ができること

  1. 吃音のからかいをやめさせる(少しの真似でも、傷つく)。クラスで吃音のからかいがあったら報告させる。
  2. 話すのに時間がかかっても待つ。
  3. 話し方のアドバイスをしない(ゆっくり、深呼吸して、落ち着いて、など)→効果がなく、逆にプレッシャーになる
  4. 本読み、号令などの対応を本人と話す。
吃音の説明ロールプレイ

先生「〇〇くんは、ことばを繰り返したり、つまったりすることがあるけど、それを真似したり、からかわないように。もし真似する人がいたら、先生まで教えてね」

児童「なんで真似してはいけないのですか?」

先生「わざとしているわけではないから」

児童「わかりました」

先生の一言が非常に効果があり、子どもは助かります。

出典:菊池良和著『吃音のリスクマネジメント』学苑社

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