陰嚢・睾丸・キンタマの痛み、違和感、腫れ、痒み
当院のホームページをご覧になって頂きありがとうございます。このページは陰嚢・睾丸・キンタマの痛み、違和感、腫れ、痒みについてのページです。
男性にとっては非常にデリケートな部分であり、なかなか人には相談出来ない身体の一部ですよね。そのような男性が少しでも安心出来る様にこのページを作りました。症例のイラストなどもなるべくわかりやすくして添えてます。ご一読していただけると幸いです。
◆目次◆
1 陰嚢、精巣とは
2 陰嚢、精巣の病気を疑ったときの検査
2.1 視診、触診
2.2 採血
2.3 尿検査
2.4 超音波検査(エコー検査)
3 陰嚢、精巣の痛みを伴う病気
3.1 精巣捻転
3.1.1 精巣捻転とは
3.1.2 精巣捻転の検査
3.1.3 精巣捻転の治療
3.2 急性精巣上体炎
3.2.1 急性精巣上体炎とは
3.2.2 急性精巣上体炎の検査
3.2.3 急性精巣上体炎の治療
3.3 精巣垂捻転
3.4 異常は無いけど痛む時
4 陰嚢、精巣が腫れる病気
4.1 精巣腫瘍
4.1.1 精巣腫瘍とは
4.1.2 精巣腫瘍の検査
4.1.3 精巣腫瘍の治療
4.2 陰嚢水腫
4.2.1 陰嚢水腫とは
4.2.2 陰嚢水腫の検査
4.2.3 陰嚢水腫の治療
4.3 急性精巣上体炎
5 陰嚢に違和感、痒みを生じる病気
5.1 精索静脈瘤
5.1.1 精索静脈瘤とは
5.1.2 精索静脈瘤の検査
5.1.3 精索静脈瘤の治療
5.2 陰嚢湿疹
5.3 特に原因が見当たらない場合
6 診療費用
1 陰嚢、精巣とは
精巣(睾丸、キンタマと呼ばれる部位)は男性ホルモンを作る仕事と精子を作る仕事を担う臓器です。副腎という臓器から指令を受けて男性ホルモンと精子を作ります。陰嚢とは精巣を包む袋のことを呼びます。陰嚢と精巣のそれぞれに様々な病気になる可能性があるのです。
下記にその病気の種類やその病気を診断するための検査を説明致します。
2 陰嚢、精巣の病気を疑ったときの検査
2.1 視診、触診
まずは目で見ることと触ることが大切です。患者様が陰嚢の見た目は異常無いとおっしゃられることでも実際に医師が見たら腫れていたり痛みを伴うこともあります。見て触ることである程度の病気のアタリをつけて次の必要な検査に繋げていきます。
2.2 採血
採血は患者様の血液を採取しそれを分析します。
ばい菌が感染している場合や痛みが強い場合は白血球やCRP(C関連タンパク)が上昇します。また精巣腫瘍などを疑った場合は、LDHやAFPといった腫瘍マーカーが上昇する場合もあります。
患者様の全身状態や病態の把握に血液検査は非常に有用な検査です。
2.3 尿検査
尿検査では尿の中に癌細胞が入っていないか、ばい菌が入っていないか、赤血球や白血球が混ざっていないか、などを判断します。
精巣や精巣上体に感染を起こす急性精巣上体炎などは、尿道から感染を起こすため尿検査の尿培養検査は非常に重要になります。
女性は尿の中に白血球や赤血球が混じりやすいですが、男性の尿には基本的に赤血球や白血球はみられません。なので、男性の精巣の疾患を疑った尿検査に白血球や赤血球が見られた場合は何らかの感染などを疑うことになります。
2.4 超音波検査(エコー検査)
陰嚢・精巣の検査には超音波検査が非常に有用です。超音波検査はプローブと呼ばれる機械にゼリーを塗り身体に当てて身体の中を視る検査です。
痛みを伴うことはなく放射線も浴びないので患者様の身体に優しい検査です。
超音波を陰嚢に当てることで、精巣の形状、腫瘍の有無、感染の有無、静脈の拡張の有無、などがわかります。
3 陰嚢、精巣の痛みを伴う病気
3.1 精巣捻転
3.1.1 精巣捻転とは
精巣の病気で絶対見逃してはいけない病気がこの精巣捻転です。好発年齢は10代です。
精巣の血管と精管が捻れることで血管が遮断され精巣に血液が行き渡らなくなります。
捻れることの痛みももちろん辛いですが、精巣に血液が送られないことで、精巣が壊死してしまいます。壊死とは腐ってしまうということです。
捻転が起こった時間から6時間以内に手術で捻転を解除しなければいけません。6時間を過ぎると壊死してしまい、精巣を摘出しなければいけなくなる可能性が高くなります。
3.1.2 精巣捻転の検査
基本的には超音波検査で精巣に血流があるかを判断します。判断に困る場合は陰嚢を、開き実際に精巣を確認することが必要になります。精巣上体炎との違いを見極めることが困難な場合もあり、その場合は精巣が壊死するリスクを考慮して実際に陰嚢を切開して精巣を確認した方が良いとされてます。
3.1.3 精巣捻転の治療
精巣捻転を疑った場合は実際に手術で陰嚢を切開し、捻れを確認し捻転を解除します。捻転を今後起こさないように、陰嚢の壁に精巣を2点で固定します。
実際に精巣を確認した時点で捻転を解除した後でも壊死していると判断した場合はその精巣を摘出することになります。
3.2 急性精巣上体炎
3.2.1 急性精巣上体炎とは
急性精巣上体炎とは尿道からばい菌が入り、精巣の横にある精巣上体と呼ばれる臓器に感染することで起こります。精巣上体とは精子を運ぶためにある臓器です。精巣上体に感染が起きることで精巣上体が腫れます。そこから精巣にまで感染が波及することもあります。その場合かなり腫れが大きくなります。
性感染症であるクラミジアによる精巣上体炎もあります。ただ、多くの場合は性行為による感染ではありません。
3.2.2 急性精巣上体炎の検査
触診で精巣の圧痛を確認します。
エコー検査で精巣と精巣上体の腫脹を確認します。一般的に血流が増加しているのが確認できます。
採血と尿検査で炎症の大きさや原因菌を同定します。
3.2.3 急性精巣上体炎の治療
抗生剤(細菌をやっつける薬)の内服です。
炎症の大きさにもよりますが、2週間は内服した方が良いでしょう。
患部を冷やし安静にすることで治癒が早くなります。
3.3 精巣垂捻転
精巣の付属器である精巣垂とよばれた小さな突起が捻れることで強い痛みを生じます。
10歳前後の子供に多く、子供の陰嚢の痛みの30%は占めるとされてます。
経過観察で良くなります。
3.4 異常は無いけど痛む時
陰嚢・精巣の痛みの特徴として、原因が見つからないというケースが多く見られます。
デリケートな部分であり、男性の多くは過剰に気にしてしまうのです。
原因としては長時間座った姿勢や陰嚢が圧迫されることで、血流が悪くなり痛みが生じるとされてます。痛む側は左側が多いです。
一通り検査を受けて異常が無いと確認します。
漢方薬を処方することで痛みの改善が早くなるとされてます。
4 陰嚢、精巣が腫れる病気
陰嚢、精巣が腫れてくる・大きくなってくる病気を下記に挙げました。
4.1 精巣腫瘍
4.1.1 精巣腫瘍とは
精巣腫瘍とは精巣に出来る癌です。
精巣が大きくなり、進行すると肺やお腹のリンパ節に癌細胞が転移しやすいです。
比較的に30歳までの若い人に多く、身体の表面にあるため自身で気付くことが早期発見に繋がります。
4.1.2 精巣腫瘍の検査
エコーで、精巣の腫瘍を確認します。
CTなどで全身に転移していないかを確認します。
また採血で腫瘍マーカーをチェックし今後の治療の指標にします。
4.1.3 精巣腫瘍の治療
基本的には手術です。精索と精巣を一塊にして摘出します。ステージによっては抗がん剤治療や放射線治療が追加で必要になることもあります。
4.2 陰嚢水腫
4.2.1 陰嚢水腫とは
陰嚢水腫は、陰嚢の中で精巣の外にリンパ液が溜まる病気です。40歳以上の男性に多く見られます。量が少ないときは目立ちませんが、多くなってくるとパンツやズボンを履いていても目立つようになってきます。基本的に悪性疾患ではないので放置していても大丈夫ですが、近年悪性腫瘍の合併が稀に起こると言われてます。
4.2.2 陰嚢水腫の検査
4.2.3 陰嚢水腫の治療
基本的には手術です。
陰嚢を切開し、液体の周囲にある膜を切除し摘出します。手術後の再発はほとんど見られません。
一時凌ぎの治療として陰嚢穿刺があります。
針を陰嚢に刺し、陰嚢内の液体を抜きます。
そうすることで陰嚢が縮小し、一時的には治ったかのように思います。
ですが必ず再発しまた液体が貯留してきます。
そして穿刺を繰り返すことで、その後手術をした際にかなり難しくなるのです。
なので、当院では穿刺はあまりお勧めしておりません。
4.3 急性精巣上体炎
急性精巣上体炎でも精巣は腫れてきます。
内容は先述した通りです。
5 陰嚢に違和感、痒みを生じる病気
5.1 精索静脈瘤
5.1.1 精索静脈瘤とは
精索静脈瘤とは、精巣から血液が心臓に帰る精巣静脈が瘤状に膨れ上がった状態です。
その瘤が違和感や痛みの原因になります。
血管の走行の関係で左側に多いです。
精索静脈瘤は男性不妊の原因の40%を占めます。
精索静脈瘤に血液が集まることで体温が上昇し精子が作られなくなるためです。
精巣が萎縮してしまい男性機能が低下することもあると言われてます。
なので男性不妊で悩んでいる方は一度精索静脈瘤の有無の検査をした方が良いでしょう。
5.1.2 精索静脈瘤の検査
エコー検査にて精索静脈の拡張を確認します。
また、精巣の大きさを左右で比べて精巣の萎縮の有無を確認します。
5.1.3 精索静脈瘤の治療
基本的には手術です。近年は顕微鏡による手術が主流です。以前の開腹手術に比べて傷も小さくなり再発率が格段に低下しました。
違和感を取るだけであれば漢方薬が有効な場合もあります。
5.2 陰嚢湿疹
陰嚢湿疹はウイルスや真菌、細菌、アレルギーなど様々な原因があります。皮膚科の専門医の先生の方が湿疹に対しては詳しいかもしれません。
当院にもそのような患者様が受診はされるため、対応しております。
5.3 特に原因が見当たらない場合
陰嚢の痛みの場合と同じで陰嚢の違和感に対して原因が見当たらない場合も非常に多くみられます。検査をした上で何も異常がないことを確認し、患者様が希望された場合は漢方薬を処方しております。
6 診療費用
当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、およそ下記のようになります。(3割負担です)
尿検査のみ | 2000円前後 |
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エコー検査のみ | 2500円前後 |
採血+尿検査 | 3500円前後 |
採血+尿検査+エコー検査 | 5000円前後 |
当院は泌尿器科専門の保険診療を行ってるクリニックであり、プライバシー管理と感染予防対策を徹底しております。
老若男女気軽に受診出来る環境を整えております。
泌尿器科疾患でお悩みの方は是非お気軽に東京泌尿器科クリニックまでご受診下さい。