頭蓋骨縫合早期癒合症
病態・症状
乳児の脳は生後6か月に誕生時の2倍の大きさとなり、2歳頃には成人の90%程度となります。このように急速に成長を遂げる脳は7つに分かれた頭蓋骨に守れています。
それらの骨のつなぎ目(=縫合線)は本来成長に合わせてゆっくりとくっついていくはずですが何らかの原因で早期にくっついてしまう病気が頭蓋骨縫合早期癒合症です。骨に囲まれたスペースが脳よりも小さいと脳の圧力が高まり、発達が遅れる原因となります。
頻度・原因
発症頻度は非常に低く4-16人/10000人程度です。頭蓋骨縫合早期癒合に加え、顔・手足にも症状を来すクルーゾン症候群やアペール症候群では遺伝性を認めるものが多く、最近はその原因遺伝子も同定されてきました。
診断・分類
頭部レントゲン・CTなどで骨の癒合状態やCT・MRIなどで脳の状態を確認することで診断します。
治療
頭蓋内圧亢進(脳の圧が上昇している)や変形が目立つ場合には手術が必要です。形成外科・脳神経外科の合同チームによる治療となります。
治療法には
①癒合した縫合を切除する縫合切除術
②頭を1回で大きくする頭蓋形成術
③頭を少しずつ大きくする骨延長術
があります。
治療は生後1歳未満に行われることが望ましいとされますが、稀少疾患ですので、早期診断が難しいことも少なくありません。