ホルモン補充療法
ホルモン補充療法について
40代になって女性ホルモンが低下することで様々な更年期症状が起こるため、改善策として女性ホルモンを直接補充する方法です。
ホルモン補充療法は、副作用を心配される方も多くいらっしゃいますが、医師の管理の元で行えばその心配もなく、非常に有効な治療法です。
女性ホルモンが低下すると更年期症状以外にも「骨粗しょう症」や「血中脂肪」の増加などにも影響があることが分かっています。
ホルモン補充療法は、これらの症状にも有効的と言われており、年齢とともに低下してきた卵胞ホルモン(エストロゲン)を貼り薬、飲み薬や塗り薬によって補充する療法です。
ホルモン補充療法のメリット
◉ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、多汗)、動悸、知覚異常など、自律神経系の不調を改善します。
◉血管壁を柔軟にし、体内で悪玉コレステロールの分解と排泄を促します。善玉コレステロールの合成を促して脂質異常症を予防します。
◉骨を破壊する細胞(破骨細胞)の生成を抑えて骨量増加を促し、骨粗しょう症を予防します。
◉皮膚の真皮層にコラーゲンやエラスチンを増やし、肌の張りや潤い、柔軟性を保ちます。また、膣など粘膜の乾燥からくる痛みを改善します。
◉脳内神経伝達物質セロトニンやノルアドレナリンの代謝を抑え、これらの正常な働きを守ります。セロトニンの減少によるイライラ、無気力、集中力欠如、脱力感、不安感、不眠、頭痛などを改善します。
◉関節(肘、膝、肩、指)などの軟骨の代謝にも良い影響を与えます。
◉物忘れ、認知症、アルツハイマーを予防します。
◉大腸がん、子宮体がんのリスクを下げます。
ホルモン補充療法の方法
ホルモン補充療法は、エストロゲンと黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類を併用するのが基本です。
子宮がある(または子宮を摘出している)、閉経から何年経っているかなど、それぞれの状況によってホルモン補充療法の投与法は変わってきます。
エストロゲン単独投与法
エストロゲンのみを投与します。
子宮筋腫や子宮内膜症などの手術で子宮摘出後の方に投与する方法です。
エストロゲン・黄体ホルモン周期的投与法
エストロゲン、黄体ホルモンともに周期的に投与する方法です。
休薬期間中に生理のような出血があります。最も自然の分泌パターンに近いです。
エストロゲン連続・黄体ホルモン周期的投与法
エストロゲンを毎日継続的に内服した状態で、黄体ホルモンを1ヶ月のうち10〜14日投与します。
エストロゲンを休薬すると調子がわるい場合には、この方法で投与します。
エストロゲン・黄体ホルモン連続的投与法
エストロゲン・黄体ホルモンとも毎日投与します。
どちらかといえば閉経から年数が経った方に適しています。
ホルモン補充療法ができない方
乳がん、子宮体がん、血栓症にかかっている方や過去にかかった方は原則ホルモン補充療法を受けていただくことができません。
喫煙量が多い方も血栓ができやすい傾向にあるため、処方できないことになっています。
また、子宮筋腫、糖尿病、高血圧、肝機能・腎機能障害がある方、狭心症の既往がある方、肥満の方や胆のう疾患がある場合には投与方法や投与量を慎重に調整しながら処方することになります。
それ以外の方に関しては、これまでににかかった病気や体質に関係なく、基本的にはホルモン補充療法を受けたいただくことができます。