子宮体がん
概要
子宮体がんは子宮内膜から発生する癌で、子宮内膜がんとも言われ、最近我が国の成人女性に増えてきており、特に50~60歳代の女性に多くみられます。子宮内膜を増殖させるエストロゲンというホルモンが、子宮内膜を剥がす方向へ導くプロゲルテロンというホルモンに比べ相対的に過剰な状態が続くと、子宮体がんになりやすい素因となります。このようなホルモン作用が発生原因となっているため、危険因子として、①出産したことがない②肥満③月経不順(無排卵性月経周期)がある④エストロゲン製剤だけのホルモン療法を受けている、などがあります。一方、このような高エストロゲン状態と関連なく生じるタイプの子宮体がんもあります。こちらはがん関連遺伝子の異常に伴って発生するとされ、比較的高齢者に多くみられます。
そのほかに高血圧、糖尿病、近親者に乳がん・大腸がんを患った方がいる、なども危険因子として知られています。
症状
初期の自覚症状は不正出血が代表的です。特に閉経後に不正出血が持続する時には早めに受診し、子宮体がんの検査を受けることをお勧めします。
検査
40才以上で不正出血などの自覚症状がある方やエコー検査で子宮内膜の病的肥厚などリスクのある方は子宮内膜細胞診を行います。子宮の奥まで採取器具を挿入しますので多少の痛みは伴いますが、少しでも疑いがあるときには受けたほうが良いでしょう。内膜細胞診で陽性の場合は、精密検査としての組織検査で悪性の組織であることを確認後、MRIやCTなどの画像検査などを併用した診察でがんの拡がり(転移や浸潤)を予想して、進行度(I期~IV期)を診断します。
治療
子宮体がんの治療では手術療法が主体となります。がんの進行期や、年齢、合併症にもよりますが、基本的には子宮、卵巣・卵管、リンパ節を摘出します。手術ののち、進行度や転移によって化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法などを追加する場合があります。また、若年婦人で子宮を温存し妊娠する能力を維持して治療することを希望される方には、ホルモン剤を使って治療することも可能ですが、ホルモン治療の適応となるのは、初期の子宮体がんで、しかも一部のタイプのものに限られるので注意が必要です。
まとめ
☆子宮体がんは50~60歳代の女性に多く、危険因子には出産経験のなさ、肥満、月経不順、エストロゲン製剤の使用があります。
☆初期症状は不正出血で、早めの受診が重要です。
☆検査では子宮内膜細胞診が行われ、陽性の場合は進行度が確認されます。
☆治療は手術が主体で、化学療法や放射線療法も行われることがあります。
☆ホルモン治療は一部の初期の子宮体がんに適用されますが、慎重に考慮されるべきです。