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血精液症について(精液・精子に血液が混じる)

男性が射精をした後に精液に血が混じっていると非常に驚かれると思います。今までに経験したことがなくとても不安になると思いますが、泌尿器科にはそのような精液に血が混じる患者さんが実はとても多くいらっしゃるのです。この記事では血精液症(精液に血液が混じること)についてなるべく専門用語を使わずに解説してきますので、皆様に血精液症を知っていただき少しでも安心していただけると幸いです。

◆目次◆

1 血精液症とは
2 血精液症の原因
 2.1 細菌感染などの炎症によるもの
  2.1.1 精巣上体炎
  2.1.2 前立腺炎
  2.1.3 精嚢炎
 2.2 癌(悪性疾患)
  2.2.1 精巣癌
  2.2.2 前立腺癌
 2.3 その他の病気
3 血精液症の検査
 3.1 尿検査
 3.2 超音波検査(エコー検査)
 3.3 採血検査
4 血精液症の治療
5 血精液症になったら
6 診療費用

1 血精液症とは

文字通り精液に血が混じるという症状、つまり状態です。症状・状態の名前であり血精液症は病気の名前ではありません。そして、血精液症の原因となる病気はたくさん存在します。その病気については後ほど解説していきます。

血精液症は30代から40代の男性に多いと言われていますが、実際私の臨床経験では10代から70代まで幅広い年代の患者さんが来院されてます。ですが、後述するように血精液症が原因で重篤な病気を抱えている方はほとんどいません。ほとんどいないということは0ではないということです。ごくわずか数パーセントの方が悪性疾患(がん)などを抱えている場合があるため血精液症に気付かれた方には泌尿器科で検査することを強くおすすめ致します。

2 血精液症の原因

血精液症の原因には細菌感染、悪性疾患(癌)、その他、と大きく分けてこの3つに分けられます。

2.1 細菌感染などによる炎症

基本的に身体のどこかで細菌感染が起こると、炎症が発生し組織が壊れるために出血してしまいます。この場合の炎症とは身体の白血球が細菌と戦うことを意味します。白血球と細菌が戦うことでそこの組織が壊れてしまうのです。精液に血が混じるとき、以下のどこかの器官で細菌感染による炎症が起こっている場合があります。

2.1.1 精巣上体炎

精巣の付属器である精巣上体は精子を輸送するところなのですが、そこに尿道を経由して細菌感染すると炎症が起きるために出血してしまいます。出血がおきて精子に血が混じり、結果として精液に血が混ざってしまうのです。原因菌としては大腸菌や、性行為感染症であるクラミジアといったものがあげられます。治療は抗生剤の投与になります。

2.1.2 前立腺炎

尿道から入ってきた細菌が前立腺に感染することで起こります。前立腺が作る前立腺液というのも精液の一部なので前立腺に炎症が起こることで精液に血が混じります。前立腺炎は前立腺肥大症を併発している方に多く、前立腺肥大症によって尿の出が悪くなり膀胱内に排尿後の残尿が多くなることで感染しやすくなり前立腺炎になると言われています。治療は抗生剤の投与になります。

2.1.3 精嚢炎(せいのうえん)

精液を貯めている精囊に炎症が起こります。これは細菌感染ということではないのですが、精囊に原因不明に炎症が起こることで出血し、精液の一部である精囊液に血液が混ざるため精液に血が混じります。基本的には何もしなくても治ります。この精囊炎が血精液症の原因としては一番多いです。精嚢炎は採血や超音波検査では原因の特定は困難で、MRIを撮ることで診断をつけることができます。

2.2 癌(悪性疾患)

癌(悪性疾患)も組織が脆いため出血がしやすくなります。精子や精液が作られるとこや通過するところに癌があると、出血した際に精液に血液が混入することになります。

2.2.1 精巣癌

精巣癌(精巣腫瘍)

精巣にがんができることで精巣から作られる精子に血液が混じります。20代から30代の男性に好発し、その年代では1番罹患率の高いがんになります。有名人が精巣がんにかかったというニュースは比較的新しい情報かと思います。超音波検査で精巣癌は診断出来ます。標準的な治療は手術で摘出することになります。

2.2.2 前立腺癌

前立腺癌(前立腺腫瘍)

前立腺癌は精液の一部である前立腺液を作り出す前立腺にがんができることで精液に血が混じります。前立腺癌は日本人男性にとても多くみられ、2025年には全てのがんの中で一番多くかかるがんになると言われています。前立腺がんの検査の代表的なものはPSA検査で、採血によって測定します。前立腺がんの治療には放射線治療や手術治療、ホルモン治療、PSA監視療法など様々な治療方法があります。

2.3 その他の病気

前立腺の囊胞(のうほう)、前立腺肥大症、尿道狭窄(にょうどうきょうさく)、なども血精液症の原因として考えられます。これらは血精液症の原因としてはかなり稀な病気です。

3 血精液症の検査

3.1 尿検査

尿の中にバイ菌やがん細胞があるか、赤血球、白血球が混じっていないかなどの検査になります。この尿検査は泌尿器科にとってとても大切な検査になっています。

3.2 超音波検査(エコー検査)

超音波(エコー)検査は痛みもなく体にとても優しい検査です。ゼリーを体につけて器械を当てて体の中を超音波で診断していきます。この超音波検査では前立腺にがんがないか、精巣にがんがないかを調べます。

また、尿の通り道を一通りみて結石や癌などの異常がないか検査します。

3.3 採血検査

貧血や炎症が起こっていないかを調べ、PSAを測り前立腺癌の疑いがないかをみていきます。血精液症の検査としてとても大事な検査になります。

4 血精液症の治療

精巣上体炎や前立腺炎などの感染であれば基本的には抗生剤の投与で治療していきます。また精巣癌や前立腺癌などがある場合はそのがんに対しての治療をします。先述した通り、血精液症にかかる多くの方は精囊炎なので基本的には無治療で1〜2ヶ月ほど様子をみていきます。そのうちに精液の色が血の混じった赤い色から茶色くなり(古い血液になっている証拠)どんどん薄くなっていきます。症状の強い方には出血を早く止めるために血止めのお薬を内服してもらうこともあります。

5 血精液症になったら

今まで読んでいただいてお分かりになったかと思いますが、血精液症はほとんどの方が大きな異常はありません。しかしごく一部の方には重篤な怖い病気が隠れている場合があります。血精液症に気付いた際には必ず泌尿器科の専門医に診てもらいましょう。一通り検査をして大きな異常がないことを確認して様子を見ることが非常に大切だと思います。当院では泌尿器科の専門医による診察を全ての時間帯で行っております。お気軽にご受診下さい。

6 診療費用

当院は基本的に保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、およそ下記のようになります。(3割負担です)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後

当院は泌尿器科専門の保険診療を行ってるクリニックであり、プライバシー管理と感染予防対策を徹底しております。
老若男女気軽に受診出来る環境を整えております。
泌尿器科疾患でお悩みの方は是非お気軽に東京泌尿器科クリニックまでご受診下さい。

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