子宮頸がんワクチン
子宮頸がんワクチンについて
子宮頸がんのHPV感染
子宮頸がんの95%以上は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因です。子宮頸部に感染するHPVの感染経路は、性的接触と考えられます。HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉の経験がある女性のうち50%~80%は、HPVに感染していると推計されています。性交渉を経験する年頃になれば、男女を問わず、多くの人々がHPVに感染します。そして、そのうち一部の女性が将来高度前がん病変や子宮頸がんを発症することになります。
HPV感染から子宮頸がんへ
HPVに感染してから子宮頸がんに進行するまでの期間は、数年~数十年と考えられており、HPVに感染した女性の一部は、感染細胞が異常な形に変化して、前がん病変(異形成)を発症します。HPVの作用による細胞の異常は、軽い異常(軽度異形成)に始まり、その中の一部は、さらに強い異常(高度異形成)に進行します。これらの異形成は、一般的に症状が出現しないことが多く、「子宮頸がん検診」で見つけられるケースがほとんどです。自覚症状がなく、がん検診を受診したいなかったため、気づかれないままに前がん病変から子宮頸がん(浸潤がん)に進行することがあります。このことから、子宮がん検診がいかに大切かがお分かりかと思います。
HPVの型とワクチン
発がん性HPVの中で、HPV16型、HPV18型は特に前がん病変や子宮頸がんへ進行する頻度が高く、スピードも速いと言われています。しかし、HPV16型、HPV18型の感染は、HPVワクチンによって防ぐことができます。このように、子宮頸がんでは、原因であるHPVに感染しないことによってがんにならないようにすること(1次予防)と、がん検診によるスクリーニングでがんを早期発見・早期治療し、結果的に子宮頸がんによる死亡を予防すること(2次予防)ができます。このように子宮頸がんは、最も予防しやすいがんであり、がん予防の知識が大切となる病気です。
HPVワクチンと予防
1次予防として、HPVワクチンによりHPVの感染を予防することが可能であり、現在世界の70過酷以上において国のプログラムとして摂取が行われています。現在のHPVワクチンにより、子宮頸がんの60~70%を予防できると考えられている、WHOからのその有効性と安全性を確認し、性交渉を経験する前の10歳代前半に接種することが推奨されています。欧米諸国や日本においても、ワクチン接種によりHPV感染率や前がん病変の頻度が、接種をしていない人に比べて減少しています。
日本の状況
日本ではHPVワクチンは2009年12月に承認され、2013年4月より定期接種となりましたが、接種後に様々な症状が生じたとする報告により、2013年6月より自治体による積極的接種勧奨は差し控えたれていました。この間の時期に生じていた様々な症状の原因がワクチンであるという科学的根拠は示されておらず、厚生労働省専門部会においても因果関係は否定されています。WHOでは2019年5月に『子宮頸がん排除』という声明が発表され、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)と定期検診が普及すれば今世紀中に子宮頸がん排除が可能になると述べています。
*子宮頸がん(HPVワクチン)の種類について*
◆シルガード9(9価)
※2023年4月以降、公費での接種が可能となりました。
シルガード9は子宮頸がんの発症につながる16,18型に加えて尖圭コンジローマ発症につながる6型、11型を従来通り予防でき、その他の子宮頸がん高リスク型HPVの31, 33, 45, 52, 58型も予防することができます。これにより子宮頸がん原因となるHPV型の88.2%をカバーすることが可能です。
◆ガーダシル(4価)
※公費(無料)での接種が可能です。
ガーダシルは子宮頸がんの発症につながる16,18型に加えて尖圭コンジローマ発症につながる6型、11型の予防効果があります。
◆サーバリックス(2価)
※公費(無料)での接種が可能です。
HPVの中で特に重要な16,18型を予防するワクチンです。
*子宮頸がん(HPVワクチン)のキャッチアップ接種について*
2022年4月1日から、厚生労働省がHPVワクチンの定期接種の機会を逃した方を対象に救済措置としてのキャッチアップ接種を開始しました。
●対象となる方
平成9年4月2日~平成18年4月1日生まれ
過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない(接種が未完)
●接種が受けられる時期
令和4年4月1日~令和7年3月31日の3年間
●接種にかかる費用
無料