アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とは、アトピーに遺伝的になりやすい素因を持つ人に起こる、慢性的な湿疹が体の様々な場所に出る病気です。良くなったり悪くなったりを繰り返し、かゆみのために眠れなかったり、生活に影響することがあります。昔は乳児期に発症することが多かったですが、現代では小児期や大人になって発症する例も増えていることが問題になっています。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピーという名前の由来は奇妙な、という意味の言葉から由来しています。その名のとおり発症機序はまだわかっていません。皮膚生理学的な要因に免疫要因・環境要因が合わさって起こるとされています。つまりもともと乾燥肌がある方にアレルギーや洗剤の影響で出ることがある、という具合です。そして掻くことで症状が悪化します。
アトピー性皮膚炎の治療法
発症の原因がそれぞれであるので、アトピー素因や、スキンケアの方法、生活環境、食べ物や嗜好品の有無などを注意深く問診し、その方にかかわる発症因子・悪化因子を突き止めるようにします。それに対して適切な生活指導を行うことがあります。慢性の経過をとることが多いので生活に影響が出ないように治療を行っていきます。
外用療法
ステロイド剤
副腎皮質ホルモンの付け薬で皮膚症状に対する第一選択です。病変の程度や経過に応じて適切なランクの薬を選択します。抗炎症作用があり、作用の強さにしたがって5段階に分類されます。適切な使用量、使用方法であれば全身的な副作用が出ることは少ないですが、使い方には注意が必要です。
非ステロイド外用剤
ステロイドに比べると弱い抗炎症作用をもちます。ステロイドほどの効果は期待できませんが、症例によっては使用します。
免疫抑制剤(タクロリムス)
ステロイド剤と並んでアトピー性皮膚炎の治療にきわめて有効な付け薬です。ステロイド剤の副作用である皮膚の菲薄化などが生じることはなく、抗炎症作用を発揮します。薬を塗り始めて数日間はヒリヒリ感が出ますが、塗り続けることで落ち着いていきます。
内服療法
抗ヒスタミン薬の内服でかゆみが抑えられます。かつても抗ヒスタミン薬は眠気が出るものが多かったですが、最近の薬は眠気が出にくいものも出ており、患者さんは生活がしやすくなったと思います。そうはいっても眠気が出ることはあるので車の運転や危険な作業をされる場合は気を付けなくてはいけません。抗ヒスタミン薬の内服により痒くて眠れない、掻きむしって治らないといった症状はかなり軽減できます。
日常のスキンケア
保湿剤を塗ることは基本のスキンケアとなります。お風呂はぬるめの温度を心がけましょう。暑すぎるお湯は乾燥を助長し、治りが悪くなります。使っている洗剤や水道水で肌が荒れる方もいるので洗剤の種類やお風呂のお湯に気を配ると改善することがあります。ハウスダストやカビなどに反応する方は、これらとの接触を控えましょう。