ベピオゲル
ベピオゲルは、2015年に日本で発売された比較的新しいお薬です。
ベピオゲルが日本で発売される以前は、抗生剤でのニキビ治療が主流でした。
抗生剤が配合されているお薬では使用を続けると耐性がつくので、使い続けると効果が弱くなってしまいます。
しかし、ベピオゲルは耐性がつかない為、効果が弱くなることがなく、長期間使えるお薬です。
ベピオゲルの登場により、ニキビ治療は大きく変わることになりました。
ベピオゲルに関しては、こちらの動画をご覧ください。
ベピオゲルの作用
ベピオゲルに入っている「過酸化ベンゾイル」には2つの作用があります。
①抗菌作用
過酸化ベンゾイルは強い酸化剤なので、フリーラジカルを産生し、
アクネ菌・黄色ブドウ球菌・表皮ブドウ球菌などの菌を抗菌します。
②ピーリング作用
毛穴のつまりを溶かすことで、白ニキビの改善効果があります。
そのため、赤ニキビが治った後の再発予防に使われます。
基本的な塗り方
夜、洗顔後に保湿をしてから顔全体に1FTU(※後述)を塗ります。
そして朝洗い流します。
洗い流した後は、保湿をしてください。
ベピオゲルには漂白作用があるので、着ている洋服や髪の毛の色が抜けることがあります。
また25℃以下で保管する必要があるので、夏場は冷蔵庫で保管してください。
※ FTU(フィンガーチップユニット)とは?
大人の人差し指の先から第一関節まで薬を乗せた量で、チューブタイプ(口径が5mm程度)の軟膏やクリームでは、1FTU=約0.5gに相当します。
ベピオゲルの副作用
皮むけ・ヒリヒリ感・赤み・乾燥などの反応が
トータルで42%の方に出ます。
効果のあるお薬ですが、比較的副作用は出やすいお薬です。
しかし上記のような副作用が出たとき、
お薬が合わないと判断してやめてしまうのはもったいないです。
副作用があることを念頭においた上で使うことをオススメします。
副作用が出たときの対応
まず、使用料を減らしてください。
通常塗る使用量は1FTUで顔全体に塗るお薬ですが、
副作用が強い場合は塗る量を減らしましょう。
また、保湿剤をしっかり塗ってから塗ると
副作用が軽減できることが多いです。
保湿剤は病院で処方されたものでも、お手持ちの保湿剤でも構いません。
ヒリヒリ感や赤みが出て、痛くて夜も眠れないという方がいらっしゃれば、
我慢できない場合は処方してもらった皮膚科へ受診してください。
特に注意が必要なのは、お薬を塗った範囲以上に赤みが出ている場合です。
かぶれかもしれませんので、一度お薬を中断して
早めに受診してください。
効果的な使い方
わたしが推奨している使い方をご紹介します。
①炎症期の赤ニキビには、積極的に使うこと
炎症期の赤ニキビがある方には、ベピオゲルの成分を含む
「エピディオゲル」を処方することが多いです。
ベピオゲルとしてもよく使います。
ベピオゲルとして使用する場合には、抗生剤入りの塗り薬を
同時に塗っていただくことも多いです。
②維持療法にはあまり使わない
ニキビの診療ガイドラインでは、ベピオゲルの維持療法が推奨されています。
しかし、わたしは維持療法にはあまり使用していません。
なぜかと言うと、ベピオゲルの抗菌作用には強い酸化剤であるので、
フリーラジカルを産生します。
フリーラジカルは、DNAを損傷してがんが出来やすくなったり、
細胞の老化を進める原因の一つになります。
栄養療法を学ぶ立場のわたしにとっては、あまり良い印象がないのです。
もちろん、皮膚の表面でフリーラジカルが発生する訳ではないので、
体の中でのフリーラジカルとは違います。
しかし、それでもやはり肌の表面の細胞が傷つく可能性を避けるため、
漫然と長期的に使用することは避けています。
しかし、処方されている方は過度に心配はしないでくださいね。
赤ニキビが出来ている方はお肌で炎症が起こっており、
ベピオゲルを塗らなくてもフリーラジカルは発生しています。
その炎症を止めるためにベピオゲルを塗ることは理にかなっています。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗