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【2018年版】医療広告ガイドライン気をつけることまとめ

2018年8月16日、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)に関するQ&Aについて」の記載を追加

2018年6月1日より、新しい医療広告ガイドライン(以下2018新医療広告ガイドライン)に変更となります。

最大の焦点は、これまで広告の扱いを受けなかった「ホームページ」について、広告の扱いになるということになったことでしょう。

では、どのような点に気をつけてホームページを作成したり、いまあるホームページを修正すればよいのでしょうか。

2018新医療広告ガイドラインについては下記よりご参照いただけます。

2018新医療広告ガイドライン(pdf)

これまで、700件以上の医療機関ホームページに携わってまいりましたことを活かして、2018新医療広告ガイドラインで気をつけることをまとめました。

※注意
blog上では、分かりやすく解説をするため「OK」「NG」という表現を利用していますが、「Aについて広告可能」ということの解釈として「A以外についてはNG」という表現に変更をしていますので、ガイドラインの意図を汲んでいる表現でないことをあらかじめお伝えします。

2018新医療広告ガイドラインで気をつけること

①医師略歴中の専門医や学会の表記

医師の略歴の中で、専門医や指導医の資格を記載しているクリニックは多いと思います。こちらについても規制が入ることになりました。

第5-4(8)
専門性資格
a 広告告示第1条第2号イからリに掲げる基準を満たす団体が厚生労働大臣に届出を行った場合は、当該団体が認定するいわゆる専門医等の資格を有する旨を広告しても差し支えないこと。

社会的な評価を受けている客観的な事実であってその正否について容易に確認できるものであり、専門医や認定医等の資格の取得等は含まれないものとして取り扱うこと。

なお、研修については、研修の実施主体やその内容が様々であり、医療に関する適切な選択に資するものとそうではないものの線引きが困難であることから、広告可能な事項とはされておらず、広告が認められていない事項であることに留意すること。

要するに、厚労省が認めた学会の専門医等の表示はOKだけどそれ以外はNGということのようです。また、研修については全て記載NGであるということになります。

ただし記載OKとなる場合があります(限定解除

2018新医療広告ガイドラインでは、「広告可能事項の限定解除」というものがあります。ガイドライン上では、「広告可能なもの」「広告可能でないもの(禁止事項)」の2とおりの記載があります。広告可能なものとは、つまり「広告して良い範囲が定められたもの」になり、限定解除では「規制された範囲が解除される」という解釈となります。今回の資格等の表記は「広告可能なもの」にあたりますので、例えば、厚労省に届け出していない学会や研修の参加についても、下記の条文をエビデンスとして記載が可能になります。

第4 広告可能事項の限定解除の要件等
「患者が自ら求めて入手する情報については、適切な情報提供が円滑に行われる必要があるとの考え方から、規則第1条の9の2に規定する要件を満たした場合、そうした広告可能事項の限定を解除し、他の事項を広告することができる。」

上記の要件を満たすものとして下記の条件が記載されています。

広告可能事項の限定解除が認められる場合は、以下の①~④のいずれも満たした場合とする。ただし、③及び④については自由診療について情報を提供する場合に限る。

① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること

② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること

③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること

④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること

ホームページに問合せ先(電話番号、E メールアドレス等)が記載されていれば、厚労省に届け出していない学会の専門医表記等の記載がOKということです。

②自由診療の価格を明示する

自由診療について、基本的には価格を記載しましょうということです。

限定解除の要件の中に、「③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること」という記載があります。当該部分の補足説明部分に下記のような表現かあります。

自由診療は保険診療として実施されるものとは異なり、その内容や費用が医療機関ごとに大きく異なり得るため、その内容を明確化し、料金等に関するトラブルを防止する観点から、当該医療機関で実施している治療等を紹介する場合には、治療等の名称や最低限の治療内容・費用だけを紹介することにより国民や患者を誤認させ不当に誘引すべきではなく、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間及び回数を掲載し、国民や患者に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供すること。標準的な費用が明確でない場合には、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額(発生頻度の高い追加費用を含む。)までの範囲を示すなどして可能な限り分かりやすく示すこと。

また、当該情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、 リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載 したりといった形式を採用しないこと。

要するに、自由診療にかかる内容には、価格を表示してくださいということのようです。価格表一覧のページがあるサイトもお見受けしますが、基本的には、それぞれのページにも価格を表示することという内容です。

③Before After画像の記載について

こちらについては、2018新医療広告ガイドラインが議論されている中で、一旦は禁止となりましたが、条件付きで記載ができる(限定解除)ということになりました。

第7回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会の資料「省令(案)について」からの抜粋です。

上記記載から、「詳細な説明文(具体的な治療内容、副作用、リスクなど)がある」という条件付きで掲載が認められることになりました。

④正式に認められていない標榜科目を掲載していないか

2018新医療広告ガイドラインでは、具体的な名称で記載してはいけない科目を明示しています。

第5-4(2) (ⅴ)
◎医科に関係する名称
「呼吸器科」、「循環器科」、「消化器科」、「女性科」、「老年科」、「化学療法科」、「疼痛緩和科」、「ペインクリニック科」、「糖尿病科」、「性感染症科」など

◎歯科に関係する名称
「インプラント科」、「審美歯科」など
なお、これら法令に根拠のない名称と診療科名とを組み合わせた場合であっても、その広告は認められない。

歯科ではよく「審美歯科」と表示していますので、こちらを標榜科目として表示するのはNGとなります。

ただし、これも限定解除の要件を満たせば記載可能となりますが、そもそも届け出していないものをそれらしく出すというのはあまり誠実でありませんので、総合診療科のように、そのほうが患者さんに正しく伝わるだろうというもの以外については、自粛していただくことをお勧めしたいです。

かつての名残で「呼吸器科」とか「消化器科」としている場合は?

平成20年4月1日から、例えば、「循環器」「呼吸器」等に「内科」等をつけた標榜名は「循環器内科」「呼吸器内科」等で標榜するように、医療機関の標榜診療科名の見直しが行われました。
その際の経過措置として、「平成20年4月1日より前に標榜している科名については、引き続き標榜することができます。」とされています。しかし、「看板を換える場合や新たに広告するまで」とされていますので、ホームページのリニューアルがある場合は新たに広告すると言えますので標榜を変更する必要があるかもしれません。
※疑義解釈では広告の単純な更新は変更の要件に当たらないとされていますのでリニューアル程度の改変の場合に変更ということになります。

広告可能な診療科名の見直しに伴う経過措置に関する取扱いについて(地I82:H.21.7.13)


⑤○○専門外来という表現を使っていないか

外来というキーワードは、医療機関の中でも良く使われるキーワードです。表現として使いやすいということもあって、私たちのお客様でも、睡眠外来、不妊外来等の利用をしています。これが「睡眠専門外来」となると広告可能な事項ではないということになります。

第3-1
専門外来
→専門外来については、広告が可能な診療科名と誤認を与える事項であり、広告可能な事項ではない。(ただし、保険診療や健康診査等の広告可能な範囲であれば、例えば、「糖尿病」、「花粉症」、「乳腺検査」等の特定の治療や検査を外来の患者に実施する旨の広告は可能であり、専門外来に相当する内容を一律に禁止するものではない。)

但し書きとして、「○○専門外来」という表記無しで、専門性の高いというコンテンツ内容にすることはOKということのようですし、こちらも限定解除の要件を満たせば記載可能なようですが、「専門」という表現は、ドクターにとってシビアな表現でもありますので、限定解除の有無によらず、「専門」という表現に気をつけて書くということが必要です。

⑥アンチエイジングという表現を使っていないか

アンチエイジングという表現は一切禁止ということになります。たとえ文中のキーワードとしての表示でもNGのようです。ただし、限定解除の要件を満たせば広告可能になります。

第2-3
アンチエイジングクリニック又は(単に)アンチエイジング
アンチエイジングは診療科名として認められておらず、また、公的医療保険の対象や医薬品医療機器等法上の承認を得た医薬品等による診療の内容ではなく、広告としては認められない。

⑦病人が回復して元気になる姿のイラストを使っていないか

元気な人のイラストについてもNGなようです。ただし、限定解除の要件を満たせば広告可能になります。

第2-3
病人が回復して元気になる姿のイラスト
効果に関する事項は広告可能な事項ではなく、また、回復を保障すると誤認を与えるおそれがあり、誇大広告に該当するので、認められない。

⑧患者の体験談の紹介をしていないか

治療が終了したり利用された方の体験談を紹介するのはNGです。

第3-1(5) 
患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談
省令第1条の9第1号に規定する「患者その他の者の主観又は伝聞に基づく体験談を広告をしてはならないこと」とは、医療機関が、治療等の内容又は効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、当該医療機関への誘引を目的として紹介することを意味するものであるが、こうした体験談については、個々の患者の状態等により当然にその感想は異なるものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、医療に関する広告としては認められないものであること。
これは、患者の体験談の記述内容が、広告が可能な範囲であっても、広告は認められない。
なお、個人が運営するウェブサイト、SNSの個人のページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、広告に該当しないこと。

個人がやっているウェブサイトで、医療機関が便宜を図っていないサイトでの体験談は問題ありません。

⑨著名人が治療を受けている旨を表示していないか

有名人や芸能人が治療を受けていますよ!!はNGです。

第3-1(3)
他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)
特定又は不特定の他の医療機関(複数の場合を含む。)と自らを比較の対象とし、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、自らの病院等が他の医療機関よりも優良である旨を広告することを意味するものであり、医療に関する広告としては認められないものであること。
【具体例】
・ 「芸能プロダクションと提携しています」
・ 「著名人も○○医師を推薦しています」
・ 著名人も当院で治療を受けております。

⑩雑誌や新聞で当院が紹介されましたという表示をしていないか

下記の条項より、雑誌や新聞で取り上げられましたということを記載することはNGです。たこちらは、限定解除の要件を満たせば広告可能な事項、ではあるものの、広告ガイドラインでは「誘引生」を生む記載はNGになりますので、個人的には大々的には記載しないほうが無難な事項では無いかと考えます。

第2- 3
【具体例】
② 雑誌や新聞で紹介された旨の記載 自らの医療機関や勤務する医師等が新聞や雑誌等で紹介された旨は、広告可能な事項ではないので、広告は認められない

⑪SNS、blogも対象になる

オフィシャルサイトではなく、SNSやblogも対象になるの?という質問を良く受けますが、こちらも医療機関が運営していることが明確なものは、第2-5「インターネット上の広告」という表現に含まれると解釈されるので、対象になります。

迷ったら、管轄の保健所等にお問い合わせください

厚生労働省のサイトには「医療に関する広告についてのご相談は、医療機関を所管する自治体の窓口にご連絡をお願いします。」という記載があります。私どもにご相談いただくことでも良いのですが、判断が微妙な場合がありますので、その管轄の保健所にご相談ください。

管轄の保健所については下記よりご参照いただけます。

医療広告相談窓口一覧(pdf)

[2018年6月29日追記] ガイドラインのQ&A(案)について

2018年6月28日に「第10回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」が開催され、ガイドラインについてのQ&A(案)が出ました。6月1日に施行されたガイドラインについての具体的な考え方の例を整理したものです。今後必要に応じて追加・見直し等を行っていくようです。

内容としては「限定解除」に対する考え方の例が多く示されていますので、この部分に関する問い合わせが多かったのではないかと思われます。

下記にQ&Aへのリンクを掲載しましたので、是非ご参照ください。

医療広告ガイドラインに関するQ&A(PDF:213KB)

[2018年8月16日追記] ガイドラインのQ&A事務連絡について

2018年8月10日に、Q&Aの事務連絡があり、医療広告ガイドラインに関するQ&Aが整理されました。新聞や雑誌の記事の引用として、例えば、雑誌に掲載されていた「日本が誇る50病院の一覧」のようなものを掲載するのはNGであるといった具体的な例も出ています。

Q&Aへのリンクを掲載しましたので、是非ご参照ください。

医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)に関するQ&Aについて(pdf:256KB)

[2021年9月6日追記] 医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書について

2021年7月に、厚生労働省より「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」が発表され、具体的な事例について述べられている書類ですので、ぜひご参照ください。

医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(pdf:1.10MB)


河村伸哉

河村伸哉

東北大学法学部卒業後、フリーランスの期間を経て、大手飲料メーカーや通信系システム会社等のウェブサイト作成を経験。 現在、日本経営グループのメディキャスト株式会社にて、医療機関のマーケティングを担当。これまで約2000件のウェブサイトをプロデュース。 開業時のマーケティングを多く経験していることから、開業前に予約が殺到した心療内科や、強豪ひしめく地域で月間3,000 名の新患獲得を達成しているレディースクリニック、100 キロ離れた場所からわざわざ患者が通ってくる一般耳鼻科など、診療科目別の増患ノウハウを確立させ、ドクターの強みを地域住民に訴求する手法で、確実に増患に導いている。 日本でも数少ない医療機関のマーケティングに精通したメディカルWebプロデューサーとして、著書「クリニック広報戦略の教科書」「医院ホームページの教科書」があるほか、YouTube「ウェブリィチャンネル」を主催。全国で講演活動などもおこなっている。
医院ホームページ作成の教科書
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