クリニックで発生したIT系のトラブルどう対応する?
ITトラブル発生時の準備方法とは
近年、サイバーテロの脅威が現実のものとなり、多くの医療機関が危機感を募らせています。一方で、トラブル発生時のシミュレーションを行うことが大切であることが指摘されています。特に、電子カルテなどでクラウドサービスを利用している場合、インターネットやネットワークのトラブルが発生するとサービスが利用できなくなるため、このようなトラブルに備えた準備をする必要があります。
医療機関におけるクラウドサービスのリスクと対策
医療機関の主要システムである電子カルテやレセコン、PACS、検査のシステム、ウェブ問診、予約システムなどはすべてソフトウェアで構成されています。これらのシステムをクラウドサービスで利用する場合は、ネットワークに大きく依存するため、ネットワークが止まったことを想定した準備が必要です。定期的なバックアップやセキュリティアップデートの実施、セキュリティ対策の見直しなど、クラウドサービスを利用する場合のリスクを最小限に抑えるための対策が必要です。
トラブル対応の重要性と手順
ネットワークのトラブルが発生した場合、必要な手順を踏んで対応することが重要です。トラブル対応には、以下の手順を踏んでください。
- 問題の原因を特定するために、問題の切り分けを行います。院内なのか、院外なのか。院内のネットワークから切り離された、スマートフォンなどの回線を使うなどして、まずはサービスサイトなどにアクセスできるかどうかを見てください。
- 問題を特定したら、解決策を考えるために修復作業に入ります。自分たちで修復できる場合は、適切な手順を踏んで修復します。院内のネットワークトラブルであれば、ルーターの再起動をすることで解決する場合があります。
- 自分たちで修復できない場合は、クラウドサービスを提供している会社に連絡して、復旧するまでの対応を考えます。この場合、問題の内容や発生した状況を詳細に説明し、必要に応じてログやスクリーンショットなどの情報を提供することが重要です。また、復旧までの時間や対応の進捗状況など、定期的に連絡を取り合うことが大切です。
合わせて、診療を止めないことも重要です。電子カルテなどが止まっている場合に備えて、おくすり手帳に必要な情報を書き込んでおくことで、診察を受ける際に必要な情報をすぐに提供できるようになります。アナログでの対応方法を院内で検討しておくことが大事です。
また、トラブルが起こったときに、「誰が対応するか」を決めておくと、なお良いでしょう。院長が先頭に立って解決していくことが一見効率が良さそうですが、解決に手が取られてしまい、他のことに手が回らなくなることもあります。院長はできるだけ指示を出し、決めていく側になったほうが良いでしょう。
上記の手順はIT以外のトラブルにも応用ができます
IT系のトラブルだけでなく、医療機関においては、様々なトラブルに備えて準備をしておくことが大切です。例えば、患者が突然倒れた場合に早急な対応が、貴院で可能ですか?その場合に備えて、例えば、救急車を呼び、付き添いの準備をしておくことについて、誰がどのように実践するかを準備して訓練しておくことが必要です。
上記のように、日常的な業務においても、トラブルが発生する可能性はゼロではありません。例えば、システムがダウンした場合には、迅速な復旧が求められます。そのためには、バックアップシステムの整備や、災害対策の策定が必要です。
さらに、医療機関では、患者情報の管理についても細心の注意が必要です。漏洩や紛失があれば、患者のプライバシーが侵害されるだけでなく、法律違反にもなりかねません。そのためには、セキュリティ対策の徹底や、情報管理のルールの策定が欠かせません。
日頃のスタッフのトレーニングと訓練が重要です
このように、クリニックトラブル対応方法についてまとめましたが、これらの問題に対応するためにも、スタッフ全員がトラブルに備えて日々業務に取り組んでいくことが必要です。具体的には、問題が発生してから対応するのではなく、事前に予防策を考えて準備することが大切です。定期的に避難訓練ならぬ、ITトラブル訓練をして備えると良いでしょう。
YouTubeでも解説しています。
Wevery!チャンネルで著名な、いつものあの人こと、大西大輔さんにクリニックのITトラブルの対応について動画で解説していますので、ぜひご参照ください。