痔の手術について
痔(じ)は、肛門のまわりに発生する代表的な病気で、日本人の多くが一度は経験するといわれています。痔にはいくつかの種類があり、その中でも進行して症状がつらくなった場合、手術が選択されることがあります。本ページでは、痔の手術に関する基本的な知識や手術の流れについてわかりやすくご案内いたします。
痔の種類と手術が必要になるケース
痔には主に3つのタイプがあり、それぞれ異なる特徴があります。
いぼ痔(内痔核・外痔核)
もっとも一般的な痔で、肛門周囲の静脈がうっ血して膨らむ病態です。出血や脱出(痔が外に出る)などが起こります。軽度の場合は薬で改善することが多いですが、重度では手術が検討されます。
切れ痔(裂肛)
便が硬くて肛門の皮膚が裂けてしまう状態です。痛みが強く、排便時に苦痛を伴うのが特徴です。慢性化して肛門狭窄(肛門が狭くなる状態)になると、手術による治療が必要になることがあります。
あな痔(痔ろう)
肛門の近くにできた膿の出口と内部をつなぐトンネルが原因で起こります。自然治癒はせず、必ず手術が必要な疾患です。
痔の手術にはどのような方法があるか
手術の方法は痔の種類や進行度によって異なります。以下は代表的な手術法です。
結紮切除術(けっさつせつじょじゅつ)
内痔核の治療で最も一般的な手術法です。痔核の根元を結んで血流を止め、その部分を切除します。再発が少なく、根治的治療に適しています。
ジオン注射(ALTA療法)
痔核内に硬化剤を注射し、痔核を縮めて固定する方法です。メスを使わないため、身体への負担が少なく、日帰り手術も可能です。ただし適応が限られます。
痔ろう根治術
痔ろうでは瘻管(ろうかん)と呼ばれる膿の通り道を切除し、感染の原因を取り除く必要があります。病態により、開放術・括約筋温存術などが選ばれます。
括約筋温存手術
切れ痔や痔ろうの治療で、括約筋(排便をコントロールする筋肉)をなるべく傷つけない手術法です。術後の排便障害を防ぐために考慮されます。
痔の手術の流れ
手術までの流れは一般的に次のようになります。
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初診・診断
問診と肛門診察、必要に応じて内視鏡検査を行います。 -
治療方針の決定
手術が必要か、保存的治療で改善可能かを判断します。 -
手術前の準備
血液検査、心電図、感染症チェックなどを行います。前日または当日に浣腸などが必要です。 -
手術当日
入院か日帰りかは手術の内容や病院の方針によって異なります。局所麻酔から腰椎麻酔までさまざまな方法があります。 -
術後の経過観察
術後の痛み、出血、排便の様子をチェックしながら、自宅療養または入院を継続します。
手術後の生活について
術後は痛みや排便時の違和感があるため、安静と適切な排便習慣の維持が大切です。再発防止のためにも、食生活の見直しや便秘の改善が重要です。再発のリスクを減らすためにも、長時間の座位や排便時のいきみを避けるよう心がけましょう。
よくある質問(痔の手術についてのよくある質問)
手術は日帰りでできますか?
はい、最近では日帰り手術が可能なケースも増えています。ただし、痔の種類や状態、全身状態によっては入院が必要な場合もあります。
痛みはどのくらいありますか?
痛みの感じ方は個人差がありますが、術後数日間は排便時を中心に痛みがあります。医師が鎮痛薬を適切に処方しますのでご安心ください。
手術後に再発することはありますか?
手術の種類や生活習慣によって再発の可能性はゼロではありません。再発を防ぐには、排便コントロールや生活習慣の改善が重要です。
料金について(自由診療の場合)
以下は参考料金です。実際の費用は診察内容や保険の適用範囲により異なります。
手術内容 | 料金(自由診療・税込) |
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ジオン注射(ALTA療法) | 55,000円〜88,000円 |
内痔核切除術 | 110,000円〜220,000円 |
痔ろう根治手術 | 165,000円〜275,000円 |
※初診料・再診料、麻酔代、薬剤費などが別途かかる場合があります。
院長より
痔は恥ずかしさから受診をためらう方が多い症状ですが、放っておいても自然に治ることはまれです。逆に早めの対処で生活の質が大きく改善されることもあります。当院では、患者さんのライフスタイルに合わせた治療を心がけておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
日々のお悩みを安心に変えられるよう、文京区や新宿区その周辺地域にお住まいの皆さまのお力になれればと思っております。