施設基準等で定められている保険医療機関の書面掲示について、原則ウェブサイトにも記載する必要があります。 項目や具体記述例など。
2024年4月29日 情報通信機器を用いた診療を追加
2024年6月に施行される診療報酬改定に即して、「保険医療機関及び保険医療養担当規則等 」の改変があり、施設基準等で定められている保険医療機関の書面掲示について、原則ウェブサイトにも記載しなくてはならないことになりました。
診療報酬改定答申資料 (2024.2.14中医協総会)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001210969.pdf
施設基準の告示
書面掲示事項については、上記答申の資料では下記のように記載されています。P162より
具体的にホームページにはどのように書くの? 例文は?
記載すべき事項については、特に目立つ位置に大きく掲載する必要は有りませんので、例えばホームページのトップページの最下部あたりに下記の事項を追加する形で追記すれば良いでしょう。 具体的にどのように記載すればよいかについては、後述の点数を全て算定する医院は少ないと思いますので、記載する医療機関がほとんどと思われる、明細書の発行、一般名処方に関することと、DXに関する記載についての例を記します。
例文
患者様へのご案内(保険医療機関における書面掲示) 明細書について 当院は療担規則に則り明細書については無償で交付いたします。 一般名での処方について 後発医薬品があるお薬については、患者様へご説明の上、商品名ではなく一般名(有効成分の名称)で処方する場合がございます。 医療情報の活用について |
電子カルテ情報共有サービスが開始された場合は、医療情報の活用についての電子処方箋の次くらいに「電子カルテ情報共有サービス」を追記する必要があります。
注:上記例文は医院ごとの対応方法にベストマッチした文言とは限りませんので、医院のご状況に応じて変更してください。上記をそのまま利用した場合に生じた紛争などはWevery!では責任を負いませんので予めご留意ください。
いつまでにホームページに記載すれば良いの?
中医協の資料では、
本改正に際し、令和7年(2025年)5月 31 日までの経過措置を設ける。
と記載がありました。2024年改定の施行からは約1年ほどの猶予がありますが、それほど手間がかかるものでは有りませんので、できるだけ早めに追加をしていただくことをおすすめいたします。
記載が必要な項目・算定・加算は?どのような記載が必要なのか
ホームページに記載する事項については、算定している加算などによって違います。下記にホームページへの掲載が要件になっている項目について列挙いたしましたので、参考ください。
※下記の記入すべき内容については変更箇所の趣旨をまとめたものになりますので、詳細が知りたい方は施設基準の告示文章を参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.具体的にホームページにはどのように書くの? 例文は?
- 1.1.例文
- 2.いつまでにホームページに記載すれば良いの?
- 3.記載が必要な項目・算定・加算は?どのような記載が必要なのか
- 3.1.高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準の変更
- 3.2.機能強化加算
- 3.3.医療情報取得加算
- 3.4.医療DX推進体制整備加算(歯科、調剤も同様)
- 3.5.在宅医療DX情報活用加算(訪問看護、歯科訪問も同様)
- 3.6.明細書発行体制等加算
- 3.7.ハイリスク分娩等管理加算
- 3.8.一般名処方加算
- 3.9.後発医薬品使用体制加算(外来後発医薬品使用体制加算も同様)
- 3.10.バイオ後続品使用体制加算
- 3.11.協力対象施設入所者入院加算
- 3.12.通院・在宅精神療法
- 3.13.地域包括診療加算(地域包括診療料も同様)
- 3.14.外来腫瘍化学療法診療料
- 3.15.歯科外来診療医療安全対策加算
- 3.16.介護保険施設等連携往診加算
- 3.17.在宅医療情報連携加算(在宅がん医療総合診療料、在宅歯科医療情報連携加算も同様)
- 3.18.情報通信機器を用いた診療
- 3.19.その他の項目
- 3.20.追加事項
高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準の変更
高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準、いわゆる療担基準の変更があり
- 第五条の三第四項
- 第五条の三の二第四項
- 第五条の四第二項
の項目についてウェブサイトのへの記載が必要になりました。
記載すべき事項
上記の変更により以下についてホームページの記載が必要になります。
- 食事療養の内容及び費用
- 生活療養の内容及び費用
- 患者申出療養又は選定療養の内容及び費用
機能強化加算
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 地域において包括的な診療を担う医療機関であること
医療情報取得加算
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 電子資格確認を行う体制を有して質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行っていること
医療DX推進体制整備加算(歯科、調剤も同様)
政府は2030年までに電子カルテを普及させるべく、今回の改定ではDXについても多くの加算がつく形になりました。オンライン資格確認を導入して活用している医院のみならず、電子処方箋を導入している医院、将来的には、電子カルテ情報共有サービスに参加している医院が、医療DX推進体制整備加算を取る場合は、下記の項目を記載する必要があります。
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療をおこなっている旨
在宅医療DX情報活用加算(訪問看護、歯科訪問も同様)
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い在宅や訪問看護等を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して訪問看護を行う旨
明細書発行体制等加算
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 明細書を患者に無償で交付していること。
ハイリスク分娩等管理加算
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 一年間の分娩実施件数が120件以上であり、かつ、その実施件数等
一般名処方加算
一般名で処方することがある場合は、下記の項目をホームページに記載する必要があります。
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 薬剤の一般的名称を記載する処方箋を交付する場合に一般名処方の趣旨を患者に十分に説明する旨
後発医薬品使用体制加算(外来後発医薬品使用体制加算も同様)
後発医薬品使用体制加算を取る場合は、下記の項目を記載する必要があります。
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいる旨
投与する薬剤を変更する可能性があること、またこのことを入院患者に十分に説明する旨
バイオ後続品使用体制加算
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- バイオ後続品の使用に積極的に取り組んでいること
協力対象施設入所者入院加算
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 介護保険施設等と平時からの連携体制を構築していること
通院・在宅精神療法
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。(点数表に基づきイ~リまでの項目も付記しています)
- (イ) 患者ごとの相談内容に応じたケースマネジメントを行っていること。
- (ロ) 障害福祉サービス等の利用に係る相談を行っていること。
- (ハ) 介護保険に係る相談を行っていること。
- (ニ) 当該保険医療機関に通院する患者について、介護支援専門員からの相談に適切に対応す ること。
- (ホ) 市町村、保健所等の行政機関、地域生活支援拠点等との連携を行っていること。
- (ヘ) 精神科病院等に入院していた患者の退院後支援を行っていること。
- (ト) 身体疾患に関する診療又は他の診療科との連携を行っていること。
- (チ) 健康相談、予防接種に係る相談を行っていること。
- (リ) 可能な限り向精神薬の多剤投与、大量投与、長期処方を控えていること。
地域包括診療加算(地域包括診療料も同様)
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 相談支援専門員からの相談に適切に対応する旨
- 患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付する旨
外来腫瘍化学療法診療料
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 連携する医療機関の名称、所在地及び電話番号等
歯科外来診療医療安全対策加算
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 歯科診療に係る医療安全対策
介護保険施設等連携往診加算
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 介護保険施設等と連携体制が確保されている旨
在宅医療情報連携加算(在宅がん医療総合診療料、在宅歯科医療情報連携加算も同様)
記載すべき事項
下記の項目についてホームページの記載が必要になります。
- 通院が困難なものの診療情報等について、ICTを用いて常時確認できる体制を有している旨
情報通信機器を用いた診療
記載すべき事項
向精神薬の処方についてホームページの記載が必要になります。
情報通信機器を用いた診療の初診の場合には向精神薬を処方しないこと
その他の項目
施設基準には「ウェブサイトへ掲載」の記載はないものの、書面掲示されるものについては原則ウェブサイトににも掲示するという観点から、下記の項目についても上記の加算等に準じて記載が必要になると解釈出来ます。
病院の入院基本料(看護を行っている病棟ごとの看護職員の数と当該病棟の入院患者の数との割合)
特定一般病棟入院料(同上)
診療所の入院基本料(看護に従事している看護職員の数)
時間外対応加算(緊急時の対応体制や連絡先等)
地域連携小児夜間・休日診療料
外来緩和ケア管理料
地域連携夜間・休日診療料
生活習慣病管理料1(28 日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付すること)
歯科疾患管理料(歯科疾患管理料の趣旨及び内容 )
歯科訪問診療料 (歯科訪問診療を行っている保険医療機関である旨
追加事項
2024年3月27日の通知、「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定め る掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医 薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正についてにて、ウェブサイトへの記載事項についてもまとめられました。
「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定め る掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医 薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/12400000/15-3.pdf
通知によると、下記の5つの事項について、ウェブサイトへの記載が必要になる旨が示されました。
- 入院基本料に関する事項
- 厚生労働大臣が指定する病院の病棟並びに厚生労働大臣が定める病院、基礎係数、機能評価係数Ⅰ、機能評価係数Ⅱ、救急補正係数及び激変緩和係数(平成 24 年厚生労働省告示第 165号)別表第一から第三までの病院の欄に掲げる病院であること。
- 地方厚生(支)局長への届出事項に関する事項
- 明細書の発行状況に関する事項
- 保険外負担に関する事項
記載すべき事項
1.入院基本料に関する事項については上述いたしましたが、 5.保険外負担に関する事項について、 例えば、長期収載品の選定療養にて、患者が先発品(長期収載品)を選んだ場合に、選定負担として保険外の負担が生じますので、当該の記載が必要となります。
長期収載品の選定療養の場合
- 後発医薬品(ジェネリック)がある薬で先発医薬品の処方を希望する場合は、特別の料金を支払うことになる旨