ニキビの原因は顔に生息する顔ダニ(ニキビダニ)が原因かも|ニキビダニが原因のニキビとは?
人の顔には、顔ダニが住んでいると知っていますか?
「顔ダニ」と聞くと肌に悪影響があると勘違いしてしまいますが、決して顔ダニは悪いだけのものではありません。
大事なのは、顔ダニの生息するバランスです。
今回は、顔ダニの発生原因やニキビへの影響について解説します。
顔ダニとは?
顔ダニは、別名「ニキビダニ」とも呼ばれており、正式名称は「毛包虫性ざ瘡(もうほうちゅうせいざそう)」と言います。
体長は約0.1~0.4mmと小さく、透明に近い体の色なので、肉眼で顔ダニを見つけることはできません。
「ダニ」という響きから肌に悪いイメージを持ってしまいますが、顔ダニは一人の顔に平均で約200万匹いると言われていて、皮脂を食べてくれます。
誰の顔にも生息していて皮脂のバランスを調整してくれるので、決して悪い存在ではありません。
顔ダニは梅雨の時期に発生しやすい
顔ダニは、決して悪い存在ではないものの、あまりにも増えすぎると皮脂のバランスが崩れてしまいます。
そのため、顔ダニの繁殖を防がないといけません。
とくに注意するべきなのが、梅雨の時期です。
気温が上昇する梅雨の時期は、顔ダニの餌となる汗や皮脂の分泌が盛んになります。
梅雨の時期は、普段よりも肌の手入れを入念に行いましょう。
顔のニキビダニが増殖する原因
ニキビダニが増殖する主な理由は、皮脂の過剰分泌です。
ニキビダニは皮脂を餌にして繁殖するため、皮脂が過剰分泌されているとどんどん増殖していきます。
たとえば、以下の理由によって皮脂が過剰分泌され、ニキビダニが増殖します。
化粧品の油分が落ち切っていない
メイクを落とし切れずに皮膚の奥までメイク汚れが残ってしまうと、毛穴に化粧品の油分がたまり、過剰な皮脂の分泌を引き起こしてしまいます。
その結果、ニキビダニが増殖します。
そのため、化粧をした日はクレンジング剤を使って、しっかりとメイクを落としましょう。
ただし、使用するクレンジング剤の洗浄力が弱い場合、メイクが完全に落ちきらないことがあります。
そこで、クレンジング後に乳液を含ませたコットンで肌を拭いてみましょう。コットンに色がつく場合は、まだメイク汚れが残っている証拠です。
しっかりとメイクを落とすまで、この作業を繰り返すようにしましょう。
糖質や脂質の多い食事ばかりとっている
糖質や脂質の過剰摂取は注意が必要です。
体内で消化吸収されきれなかった糖質は、脂質に変化します。この余剰の脂質が体内に蓄積されると、皮脂の過剰分泌を引き起こしてしまうのです。
そのため、糖質や脂質の1日の適正摂取量を守り、バランスの良い食事を心がけてください。
糖質・脂質の摂取目安は、以下を参考にしてください。
女性 | 男性 | |
糖質 | 約400g | 約550g |
脂質 | 約40g | 約50g |
ホルモンバランスの乱れ
肌トラブルの一因となるのが、ホルモンバランスの乱れです。
ホルモンのひとつである男性ホルモン「テストステロン」が増えると、皮脂の分泌量が増加します。
テストステロンの産生が活発になる要因としては、睡眠不足やストレスの蓄積などが挙げられます。これらが続くと、体内でテストステロンが過剰に作り出されるようになります。
その結果として、皮脂の分泌量が増え、ニキビダニが増殖するなどのトラブルになります。
ストレスの軽減や十分な睡眠時間の確保など、ホルモンバランスを整えて肌を守りましょう。
ステロイド薬の長期間の使用
ステロイド薬を長期間使い続けると、顔に生息するニキビダニの過剰な繁殖を招いてしまう恐れがあります。
そのため、市販の薬を使う場合は、なるべくステロイド配合の製品を避けましょう。
ステロイド薬は非常に有効な薬剤ですが、長期使用によるデメリットも存在します。
医師の適切な指導のもと、慎重に使用してください。
顔ダニが引き起こす肌トラブル
顔ダニは、肌トラブルの原因になります。
主な肌トラブルとしては、以下4つです。
- ニキビや吹き出物
- 乾燥肌
- 肌荒れ・老化
- 毛穴の汚れ・開き
なぜ顔ダニがそれぞれの症状につながってしまうのか、以下で解説します。
ニキビや吹き出物
顔ダニが多く繁殖すると、ニキビや吹き出物の原因になります。
顔ダニの死骸やフンが毛穴に詰まりやすくなるためです。
ニキビの主な原因は毛穴の詰まりですが、詰まりの原因として顔ダニも関係しています。
顔ダニの数を調整することで、死骸やフンを排除できます。
乾燥肌
顔ダニは、乾燥肌の原因にもなります。
顔ダニは、必要な皮脂まで食べてしまうからです。
必要な皮脂まで食べられてしまえば、当然肌は乾燥しやすくなります。
反対に、皮脂が多い方は食べてもらいたいと感じてしまうかもしれませんが、顔ダニに皮脂が食べられてしまうことで、肌が過剰に皮脂を分泌しようとしてしまいます。
皮脂は適度にあった方が良いので、顔ダニが繁殖しすぎて皮脂を食べられ過ぎてしまうのは、決して良い効果ではありません。
肌荒れ・老化
顔ダニが繁殖することで、肌荒れや老化の可能性もあります。
肉眼では見えづらい小ささとは言えど、顔ダニには爪もあれば口もあり、細胞を傷つけてしまうのです。
結果として、肌のツヤがなくなり、老化の原因である活性酸素を発生させます。
毛穴の汚れ・開き
女性の場合、メイクをしっかり落とさないと、毛穴の汚れや開きの原因になります。
メイクが顔に残っていると、メイク汚れのついている顔ダニが、毛穴に出入りできる状態です。
そのため、毛穴の奥が汚れてしまったり開いたように見える状態になります。
ブツブツした毛穴や黒ずみの原因にもなるので注意しましょう。
顔ダニが肌トラブルを引き起こす理由
顔ダニが肌トラブルを引き起こす理由は、上記でも解説したように、死骸や抜け殻、フンなどです。
顔ダニの寿命は約14日で、孵化してから3回の脱皮があると言われています。
さらに、死骸から出る有害物質が肌に炎症を起こす原因になっているのです。
これらの肌に悪影響のある物質を取り除くために、顔ダニ自体の数を調整しなければいけません。
顔ダニはバランスが大事
顔ダニが全くいないからといって、必ずしも健康的な肌とは言えません。
顔ダニは、皮脂を食べてくれる存在でもあるため、バランスが大事です。
適度に顔ダニが住み着いていないと、肌の状態が悪化してしまう可能性もあります。
ただ顔ダニをいなくすればよいのではなく、顔ダニと上手に付き合っていくことが重要です。
顔ダニの異常繁殖を防ぐには?
顔ダニの異常繁殖を防ぐには、生活の改善や適切なスキンケアが重要です。
皮脂を過剰分泌させてしまうから、そこに顔ダニが集まってきてしまいます。
そのため、男性ホルモンが活性化しないようにストレス発散や睡眠をとることも大事です。
その他にも、食生活を改善したり、メイク汚れをしっかり落とすスキンケアも重要になります。
とくに皮脂分泌が盛んなTゾーンなどは、しっかり洗顔を行っておきましょう。
ニキビダニによる症状を市販薬で対応するなら成分に注目
ニキビダニを市販薬で対処するなら、成分に注目しましょう。
ただし、市販薬だけで完全に顔ニキビが完治するわけではありませんので、あくまで対処療法として考えてください。
効果のある成分は、主に以下の3つです。
- クロタミトン…かゆみを抑える成分で顔ダニに有効的
- イオウ…抗菌作用でニキビ症状を改善する
- ビタミンB2、ビタミンB6…皮脂分泌の調整に役立つ成分
自身の症状に合わせて、成分から市販薬を選んでみてください。
顔ダニとアクネ菌のニキビの見分け方
顔ダニによるニキビとアクネ菌によるニキビは、症状や見た目が似ているため見分けがつきにくいです。
しかし、不適切な治療を行うと症状が改善しなかったり、悪化したりする恐れがあるので、正しく見分ける必要があります。
以下で顔ダニとアクネ菌のニキビの見分け方を解説しますので、参考にしてください。
ただし、自分でわからない場合は無理に判断せずに、クリニックにご相談ください。
ニキビにかゆみが生じている
皮膚の症状が特定の部位に集中している場合や、強いかゆみを伴う場合は、顔ダニが原因となっている可能性が高いです。
顔ダニに起因する代表的な皮膚疾患が「毛包虫性ざ瘡」で、特徴としてかゆみを伴うケースが多いのです。
しかし、一般的なにきびの場合でも、炎症が進行すれば強いかゆみを感じることがあります。
そのため、かゆみがあるからと言って安易に原因を特定するのは避け、専門家の診断を仰ぐことが賢明です。
ニキビ治療薬で何カ月も改善しない
ニキビの治療を何ヶ月も継続しているにも関わらず、なかなか症状が改善しない場合は、顔ダニによるニキビである可能性が高いです。
皮膚科や美容皮膚科で処方された医療用の強力な治療薬を使い続けていたら、なおさらその可能性が高くなります。
一般的なニキビ治療で効果がない場合は、顔ダニによる原因を疑いましょう。
顔ダニを正確に判断する方法
肌荒れの原因が顔ダニによるものかどうかを正確に判断するためには、専門的な顕微鏡検査を受ける必要があります。
顔ダニは肉眼では見えない程小さく、その大きさは長さ0.1~0.4ミリメートル、幅わずか0.05ミリメートルほどしかありません。
このような極微小な生物を確認するには、顕微鏡を使った検査でなければなりません。
この顕微鏡検査は一般的な皮膚科で受けられます。
自身の症状が顔ダニによるものである可能性があると感じた場合は、自己判断せずにまず専門医の診察を受けましょう。
ニキビダニに関するよくある質問
顔に生息するニキビダニに関するよくある質問についてまとめました。
そのほか、気になる点があれば、ぜひクリニックでご相談ください。
ニキビダニは私たちの顔にどの位生息していますか?
一人あたり200万匹生息していると言われています。
しかし、90%以上の人の顔に住んでいると言われているので、必要以上の心配は不要です。
ニキビダニは有害ですか?
ニキビダニが多く生息しているとニキビの原因になりますが、一般的な生息数であれば無害です。
そもそもニキビダニは顔の過剰な皮脂を分解し、皮膚のバランスを正常に保ってくれています。
数百年以上も人類と共存しているので、ニキビダニがいるからといって過剰な駆除をする必要はありません。
まとめ
ニキビの原因は皮脂の過剰分泌と多く言われていますが、そこには顔ダニが関連しているかもしれません。
皮脂の過剰分泌や顔ダニの繁殖など、様々なことが重なってニキビの原因となっているのです。
これらを防ぐためには、日々の生活の改善や適切なスキンケアが重要になります。
ただし「顔にダニがいるなんて嫌」と感じて、過剰に洗顔したり顔をゴシゴシこすったりしないように気を付けてください。
このようにニキビの発生には様々な原因があるので、何をしてもニキビができてしまうと悩んでいる人は、一度皮膚科に相談してみましょう。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗