エチルアスコルビン酸(水溶性ビタミンC誘導体)の特徴や効果|お肌に良い影響を与える成分
エチルアスコルビン酸(VCエチル)は、優れた水溶性ビタミンC誘導体として注目されています。
しかし、具体的にどんな効果があり、どんなメリットがあるのか知らない人は多いでしょう。
今回の記事では、VCエチルの効果や特徴について解説します。
スキンケア商品を選ぶ際にも、ぜひVCエチル配合のものを選んでみてください。
VCエチルとは?
VCエチルとは、水溶性ビタミンC誘導体の一種で、化粧品などには「3-O-エチルアスコルビン酸」と記載されています。
医学部外品としても認められており、美肌効果に期待できる成分です。
ビタミンC含有量も多く、現在では様々なメーカーが活用しています。
VCのビタミンC含有量
VCエチルは、他のビタミンC誘導体と比べて、ビタミンC含有量が豊富です。
主なビタミンC誘導体と比べると、以下のようになります。
ビタミンC誘導体 | ビタミンC含有率 |
APS | 55% |
APM | 61% |
AA | 52% |
G | 31% |
APPS | 15.6% |
GOVC | 44% |
VCエチル | 86% |
比較的ビタミンC含有率の高いAPMでもビタミンC含有率は61%ですが、VCエチルは86%と、圧倒的な含有率です。
VCエチルの特徴
VCエチルは、ビタミンC含有率が高いことも含め、様々な特徴があります。
- 厚生労働省から認可された医薬部外品有効成分
- 即効性がある
- 安定性が高い
- 高い浸透性
- チロシナーゼ活性阻害効果
- 皮膚の黒化を防ぐ
それぞれの特徴について、一つずつ解説します。
厚生労働省から認可された医薬部外品有効成分
VCエチルは、2004年に医学部外品美白有効成分として、厚生労働省に承認されている成分です。
日本は比較的安全性に厳しい国ですが、その日本が認めた成分であるため、安心して使用できます。
もちろん、美白効果についても認められています。
即効性がある
VCエチルは、他のビタミンC誘導体と比べて、即効性が高いです。
通常、ビタミンC誘導体がビタミンCへ変換されるには、酵素によって分解される必要があります。
対してVCエチルは、酵素による分解を必要としません。
そのままの形で皮膚内でビタミンCと同様の作用を発揮します。
持続性が高い
VCエチルは、持続性も兼ね備えています。
通常、水溶性ビタミンC誘導体が分解されるのには、6~8時間ほどかけられると言われています。
対して、VCエチルは72時間かけてゆっくりと変換され、代謝されていくのです。
72時間お肌にとどまり、効果を持続させてくれます。
安定性が高い
ビタミンCやビタミンC誘導体は、熱に弱く、安定性が低い特徴があります。
しかし、VCエチルについては、従来のビタミンC誘導体と比べて、安定性が高いのです。
ある実験では、40℃で90日が経過しても、95.9%のビタミンC残存率が確認されています。
高い浸透性
VCエチルは、高い浸透性も持ち合わせています。
ある実験では、以下のような結果が出ました。
- モルモットの皮膚に塗布したところ、24時間で1%以上が肌の奥にある真皮層にまで移行
- 3次元皮膚モデルを用いた浸透量の比較では、AA2Gと比較して約3倍、APMと比較して約10倍の浸透力が確認
チロシナーゼ活性阻害効果
チロシナーゼというのは、UVBを浴びた際に活性化する酵素です。
チロシナーゼが活性化すると、メラニンを過剰に作り出してしまいます。
VCエチルは、このチロシナーゼの活性を阻害する効果を持っているため、美白に効果的なのです。
皮膚の黒化を防ぐ
メラニンというのは、メラニン単量体が重合することにより、メラニンになります。
とくにUVAを浴びてしまうと、メラニン単量体の重合を促進して、皮膚の黒化を起こさせます。
VCエチルは、このメラニン単量体が重合化するのを抑制するために、皮膚の黒化を防げるのです。
VCエチルの主な効果
VCエチルは、とても肌に良い影響を与えます。
肌に与える効果として主なものは、以下の4つです。
- 美白効果
- コラーゲンの生成
- 皮脂の過剰分泌を防ぐ
- 抗酸化作用
VCエチルがどのように作用するのかについて、以下で解説します。
美白効果
特徴でも解説したように、VCエチルはメラニンを抑制するなどの効果があります。
そのため、シミやそばかす、お肌のくすみを予防、改善する働きがあるのです。
昨今では、美白化粧水としてVCエチルが配合されている商品も多くあります。
コラーゲンの生成
VCエチルは、コラーゲンの生成をサポートする働きがあります。
エイジングケアに効果的なので、お肌のハリをもたらす効果に期待できるでしょう。
その他、しわやたるみ、老化の予防にも効果的です。
皮脂の過剰分泌を防ぐ
VCエチルは、皮脂の分泌をコントロールする働きがあります。
過剰な皮脂分泌を防いでくれるので、ニキビ予防や脂性肌の対策としてもおすすめです。
さらに、皮脂のコントロールにより、毛穴を引き締めて、目立ちにくくしてくれます。
抗酸化作用
肌は酸化してしまうと、老化やシミ・シワ、肌荒れなどの原因になります。
VCエチルは、これらの酸化を抑制する抗酸化作用も高いです。
とくに紫外線やストレスによる影響は酸化を促進してしまうので、日々の生活で陽を浴びたりストレスを感じたりしている人には、高い効果のあるVCエチルをおすすめします。
まとめ
VCエチルは、化粧品などに配合される美肌効果の高い水溶性ビタミンCです。
市販されている化粧品にも配合されているので、化粧品を購入する際にも参考にしてください。
当院オリジナルスキンケア商品のオールレチノCクリームにもこのVCエチルが含まれます。
化粧品を選ぶ際には各成分への理解を深めて、美肌ケアを行いましょう。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗