皮膚科の保険診療で処方するニキビ薬
先日皮膚科のニキビ治療について解説しました。
皮膚科のニキビ治療はどんなもの?|保険診療と自由診療について
今回は保険診療で処方されるニキビ薬について解説します。
処方されるニキビ薬についてはさまざまなものがありますが、今回は当院で主に処方している薬について解説します。
エピデュオゲル
エピデュオゲルは、アダパレンと過酸化ベンゾイルが混合されたニキビ薬です。
2つの成分がニキビに大きく改善してくれます。
- アダパレン……白ニキビを強力に治療・目に見えないできかけのニキビを治してくれる
- 過酸化ベンゾイル……有効な殺菌作用を持つ物質
それぞれの成分は元々単体で出ていましたが、2016年に同時配合しても問題ないとされ、エピデュオゲルとして発売されました。
現在処方できるニキビ薬のなかで、最も強い治療薬と言っても過言ではないと当院では考えています。
エピデュオゲルの塗り方については、以下の動画で解説しているので、参考にしてください。
以下の動画では、エピデュオゲルの塗り方について解説しています。
エピデュオゲルで期待できる効果
エピデュオゲルで期待できる効果は、以下の3つです。
- 毛穴のつまり改善(つまりにくくする)
- 殺菌作用
- 抗炎症作用
毛穴のつまりから、殺菌・抗炎症作用まであるので、エピデュオゲル一つでニキビの原因を排除できます。
エピデュオゲルの副作用
エピデュオゲルには大きな副作用として「乾燥・ヒリヒリ感・皮めくれ・赤み・痛み」といった症状が出ます。
しかし、これらの反応がでても心配はありません。
エピデュオゲルを使用する人のうち80%が感じるもので、2週間以上使えば落ち着いてくるケースがほとんどです。
2週間以上続く場合は、医師まで相談してください。
ベピオゲル
ベピオゲルは、長期間の効果に期待できる薬です。
大きなポイントとして、強い抗菌作用があります。
これまでの抗生剤は、使用を続けると耐性がついてしまい効果が弱くなってしまいましたが、ベピオゲルは耐性がつかず、効果が弱まりません。
ベピオゲルについては、以下の動画でも解説しているので参考にしてください。
ベピオゲルで期待できる効果
ベピオゲルで期待できる効果、作用は以下の2つです。
- 抗菌作用
- ピーリング作用
ベピオゲルには「過酸化ベンゾイル」が配合されているために、上記の作用が働きます。
主に白ニキビの改善や、赤ニキビ治療後の再発予防として使われます。
ベピオゲルの副作用
ベピオゲルは、比較的副作用の出やすい薬です。
主な副作用は「皮むけ・ヒリヒリ感・赤み・乾燥」など。
ただし、副作用が出たからといってすぐに使用をやめるのはもったいないので、副作用があると理解した上で使いましょう。
どうしても副作用を抑えたいときは、塗る量を減らしたり、保湿剤をしっかり塗ってからベピオゲルを塗ったりすることで軽減できます。
ベピオゲルを塗った範囲以上に赤みが出た場合は、医師に相談してください。
ディフェリンゲル
ディフェリンゲルは白ニキビ・赤ニキビ・黄ニキビ、どの段階にも作用する薬です。
「エピデュオゲル」にも配合されている「アダパレン」が配合されており、2008年から現在までニキビ治療の中心薬として使われています。
ディフェリンゲルについては、以下の動画でも解説しているので、参考にしてください。
ディフェリンゲルで期待できる効果
ニキビを治す力はもちろんですが、ディフェリンゲルの大きな魅力は、ニキビをできにくくする力です。
数カ月塗り続けることで、新しいニキビができにくくなります。
さらに、ニキビ跡の色素沈着も改善しやすくなります。
ディフェリンゲルの副作用
ディフェリンゲルには「乾燥・ヒリヒリ感・皮めくれ・赤み・かゆみ」などの副作用があります。
ただし、ディフェリンゲルと同様のアダパレンが含まれているエピデュオゲルと比べると、副作用は出にくい印象です。
副作用を強く感じる人は、保湿剤を塗ってからディフェリンゲルを塗ると、副作用を軽減できます。
抗生剤の処方について
当院では、抗生剤を補助的に使っております。
抗生剤はニキビ治療として従来から使われていますが、最新の治療法ではありません。
また、抗生剤にはリスクもありますので、以下で解説します。
内服抗生剤のリスク
内服抗生剤は、長期的に飲んでいると、肺炎などの呼吸器系感染症や関節炎といった症状が出る可能性があるのです。
そのため、最小限・短期間での使用を推奨しています。
海外での使用例でも最長で3ヶ月程度とされており、個人的には1カ月以内を推奨しています。
外用抗生剤のリスク
外用抗生剤は「ダラシンTゲル」「アクアチムクリーム」「ゼビアックスローション」などを補助的に使用しています。
これらの抗生剤は「エピディオゲル」「ディフェリンゲル」「ベピオゲル」の補助として有効的な薬です。
しかし、長期的に使うと効かなくなってしまう問題があります。
ローテンションをして使うと有効でしょう。
まとめ
ニキビは、保険診療で処方する薬だけでも治療できます。
ただし、それぞれの特徴は異なるので、皮膚科で薬を処方してもらう際は、具体的な症状を説明すると良いです。
当院では3種類の薬を処方していますので、ぜひ不明な点があればご相談ください。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗