粉瘤とは?原因や種類から進行パターンについて解説
できものの一つである「粉瘤」の症状や原因について解説します。
結論から言えば、粉瘤の根本的な原因は明確になっていません。(※2023年1月時点)
ただし、可能性として挙げられている原因もあります。
合わせて、粉瘤の症状やサイクルについても解説します。
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粉瘤とは
粉瘤は皮膚の下に袋状の構造物ができ、そのなかに皮脂や角質などが溜まってできるものです。
決して衛生的に良いものではありませんが、良性の皮膚腫瘍なので、必要以上の心配はいりません。
ただし、放置してしまうと炎症を起こしたり痛みが生じたりします。
自然治癒されないので、取り除くには手術が必要です。
粉瘤の症状
粉瘤は、じょじょに大きくなり、炎症を起こす可能性があります。
また、周囲を刺激してしまうと、粉瘤が破裂して、内容物がでてくるケースもあります。
粉瘤が破裂すると、内容物から他の部位に感染する場合があるので、注意が必要です。
放置しておくと悪化する可能性が高いので、基本的には手術によって取り除くことをおすすめします。
粉瘤の原因
冒頭でも説明したように、粉瘤の明確な原因はわかっていません。
しかし、可能性として、以下の2つが挙げられます。
- 感染
- 先天性
以下では、それぞれの可能性と合わせて「炎症性粉瘤の原因」についても解説します。
感染の可能性
粉瘤の一つの原因として、感染の可能性があります。
打撲や外傷などのケガから皮膚の一部に細菌が入りこんで、粉瘤ができてしまうのです。
その他にも、毛の生え際からウイルスが入り込む可能性があるとも言われています。
先天性の可能性
粉瘤は、角質や皮脂がたまってできるものなので、清潔でない人にできやすいと言われています。
しかし、体質上、清潔にしていてもできやすい人もいます。
このように体質上できやすかったり、治療しても多発したりする場合は、先天的な体質である可能性が高いです。
炎症性粉瘤の原因
炎症性粉瘤は、粉瘤が炎症や可能を起こしている状態です。
炎症性粉瘤になる原因は、主に2つあります。
- 角質や皮膚の袋が外に漏れだし、皮膚と触れてしまうことによる異物反応
- 粉瘤のなかに細菌が侵入
炎症性粉瘤になると、痛みなども生じやすくなるので、早い段階での手術をおすすめします。
粉瘤の種類
粉瘤には、大きく分けて以下の2つの種類があります。
- 外毛根鞘性嚢腫(トリキレンモーマ)
- 炎症性粉瘤
それぞれの特徴について、以下で解説します。
外毛根鞘性嚢腫(トリキレンモーマ)
外毛根鞘性嚢腫は、主に頭部にできる粉瘤です。
遺伝による体質でできやすいと言われています。
炎症性粉瘤
先述したように、炎症性粉瘤は、粉瘤が炎症した状態です。
粉瘤が赤く腫れあがり、痛みや痒みなどの症状が生じます。
袋の中身が弱ってきており、破裂しやすい状態になっているので、扱いには注意してください。
粉瘤のサイクル
粉瘤には、痛みなどの症状を伴わない時期から、炎症を起こす時期などのサイクルがあります。
以下では、粉瘤のサイクルについて解説するので、症状が進行しないうちに手術を行うようにしてください。
基本的なサイクルは、以下の5つです。
- 定常期
- 炎症期
- 感染・膨張期
- 破裂期
- 治癒期
定常期
定常期は、粉瘤の症状が落ち着いている初期の状態です。
健康被害や炎症、痛みなどもなく、腫瘍のサイズも小さいです。
この状態で放置してしまう人も多いですが、サイズの小さい時期の方が手術跡が残りにくいため、気づいた時点で取り除きましょう。
炎症期
軽度の炎症が起きている時期です。
痛みはほとんどありませんが、人によっては軽度の痛みが生じます。
感染・膨張期
最も痛みを感じやすい時期で、人によっては触れなくても痛みを感じます。
強い腫れがあるため、発熱を伴うケースもあります。
破裂寸前の状態なので、この状態になったらすぐにクリニックを受診してください。
破裂期
内部の袋が破裂した状態です。
膿も溜まっているため、角質や皮脂などと合わせて膿も外部に出てきてしまいます。
このとき、漏れ出した液体を触ってしまうと、他の部位に感染してしまう恐れがあるため、注意してください。
治癒期
袋の中の膿が出ていったために、炎症は腫れが落ち着きます。
ただし、このまま放置すると粉瘤が再発する可能性が高いので、そのまま放置はしないでください。
粉瘤の治療法
粉瘤の治療法には、以下の3つの方法があります。
- くりぬき法
- 切開法
- その他の治療法
それぞれの治療法について解説していきます。
くりぬき法
くりぬき法は、皮膚に小さな丸い穴を開け、その穴から袋と内容物を摘出する治療法です。
小さな穴を開けるだけなので、縫合せずに傷が塞がるのを待つ場合もあります。
くりぬき法は傷跡が目立ちにくいので、顔などの見える部分の治療や女性に適している治療法です。
ただし、大きな粉瘤や癒着を起こしている粉瘤の場合、くりぬき法の治療が適さないケースがあります。
切開法
切開法は、粉瘤の大きさに合わせて表皮を切開し、袋ごと取り除く治療法です。
切開法の手順は、以下の通りになります。
- 局部麻酔をする
- 粉瘤を袋ごと摘出する
- 止血後、傷を縫合する
- 1週間後に抜糸する
切開法は、粉瘤の大きさを問わずに摘出できますが、粉瘤の大きさと同じ長さの傷跡が残る点がデメリットです。
その他の治療法
粉瘤の炎症を抑えるために、注射器で中身を抜いたりステロイドを注入したりする治療法もあります。
炎症が強くない場合、内服薬で様子を見る場合もあります。
できれば手術はしたくないと考えたくなりますが、手術跡をできるだけ目立たなくするためには、早期対応が必要です。
早めにクリニックを受診して、最適な治療を受けましょう。
粉瘤の手術後に注意すべき点
粉瘤の手術を受けた後は、以下の点に注意が必要です。
- 飲酒を控える
- 運動を控える
- 入浴を控える
それぞれの注意点について、解説していきます。
飲酒を控える
粉瘤の手術は、くりぬき法と切開法のどちらでも手術の翌日まで飲酒を控えることが大切です。
アルコールは血管を拡張させる作用があるので、一度止まった出血が再び起きてしまう可能性があるためです。
患部や粉瘤の大きさによっては、翌日以降も飲酒を控えた方が良いケースがあるので、担当医に飲酒時期の確認をしてみてください。
運動を控える
粉瘤の手術後は、運動も控えましょう。
運動によって傷口が開いてしまい、出血してしまう可能性があるためです。
背中の粉瘤など、直接動きのない場所でも相手との接触や衣服との摩耗で傷口が開いてしまう可能性があります。
日常的に運動習慣がある人は、事前に担当医に相談するようにしましょう。
入浴を控える
血行を良くする生活習慣には、入浴も含まれます。
手術当日は入浴をせず、翌日以降はシャワーを使って浴槽には入らないようにしましょう。
温泉やプールは、抜糸が終わるまで避ける方が無難です。
手術跡に細菌が入ってしまうと症状が悪化する可能性があるので、不特定多数が利用する温泉やプールは特に注意が必要です。
粉瘤に似ている皮膚疾患
粉瘤に似ている皮膚疾患として、以下の5つの疾患があります。
- ニキビ
- 化膿性汗腺炎
- 脂肪腫
- ガングリオン
- せつ(おでき)
それぞれの疾患の特徴について、解説していきます。
ニキビ
ニキビは顔にできるものだと思われていますが、首や背中、胸にもできることがあります。
ニキビは、アクネ菌の増殖や毛穴の詰まりが原因で患部が可能することが原因です。
粉瘤との違いは、ニキビは粉瘤ほど大きくならない点と、独特の臭いがない点です。
化膿性汗腺炎
化膿性汗腺炎は、汗を分泌する汗腺内で細菌が繁殖し、膿が溜まる疾患です。
化膿性汗腺炎は赤く腫れて痛みがあるのが特徴で、皮膚が硬くなることもあります。
汗腺が発達している部分にできるので、脇の下や太もも、お尻など汗をかきやすいところにできやすくなります。
背中や首回りにできやすい粉瘤とは、患部が異なる点も化膿性汗腺炎の特徴です。
脂肪腫
脂肪種は、背中や首、肩など粉瘤ができやすい場所に発生します。
粉瘤と異なり、脂肪種には化膿や痛み、独特の臭いがありません。
四肢に発生することもありますが、脂肪種は痛みがないので気づきにくいでしょう。
ガングリオン
ガングリオンは、ゼリー状の粘液がたまってできる皮膚疾患です。
関節周辺にできやすく、米粒程度からピンポン玉程度まで、その大きさは異なります。
ガングリオンそのものが痛みを発症することはありませんが、周囲の神経を圧迫することで痛みや痺れが起きることがあります。
痛みや臭いがない点が粉瘤との違いです。
せつ(おでき)
せつは、細菌の感染が原因で発症する皮膚疾患です。
放置してしまうと化膿したり痛みや赤みが出たりするので、粉瘤と似ている皮膚疾患といえます。
せつは肥満体型や高齢者、糖尿病患者に発症しやすいので、該当する場合は早めにクリニックを受診してください。
まとめ
粉瘤は、原因も予防法も明確になっていません。
そのため、「粉瘤ができてからの対策」が重要です。
基本的に、粉瘤を放置すると炎症を起こすリスクがあるので、粉瘤ができたら手術を行って取り除く方が安心でしょう。
当院では粉瘤の手術を行なっておりますが、基本的に手術は予約制になります。
腫れている場合はなるべく早く受診していただきたいです。
また、粉瘤やできものの手術は当日にはできないこともありますので、ご了承ください。
一度受診して頂いてから判断いたします。
受診のご予約は保険診療の予約でお願いします。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗