汗による皮膚トラブルの種類|かゆみの対処法は?
夏場になると、汗による皮膚トラブルが増加します。
とくに多いのは、汗によるかゆみです。
また、汗によるかゆみが原因となり、肌をかきすぎてしまって皮膚トラブルを引き起こすこともあります。
しかし、汗による皮膚トラブルやかゆみには、様々なものがあり、症状は一つではありません。
そこで今回は、汗による皮膚トラブルの種類を解説します。
夏場で汗っかきの人、かゆみが抑えられない人は、ぜひ参考にしてください。
汗の役割
汗は決して、悪いものではありません。
とくにアトピー肌の人は「汗をかくことが悪い」と考えてしまいがちですが、決して悪いことばかりではないのです。
汗の主な効果は、以下の3つ。
- 保湿作用
- 抗菌作用
- 温度調節
汗をかかなくなってしまえば、それぞれの機能がなくなってしまいます。
このように、汗には重要な役割があると理解しておきましょう。
また、アトピーと汗の関係性については、以下の記事でも解説しているので、参考にしてください。
汗による皮膚トラブルの種類
汗による皮膚トラブルの症状として代表的なのは「かゆみ」です。
しかし、同じ汗によるかゆみでも、皮膚トラブルの種類はいくつかに分けられます。
- あせも
- 汗かぶれ
- 異汗性湿疹
- 接触皮膚炎
多くの人は、夏場の汗によるかゆみを「あせも」だと考えてしまいますが、あせもではない場合もあるのです。
以下で、それぞれの症状や特徴について解説します。
あせも
あせもは、肌に発疹(赤いブツブツ)ができる症状です。
汗が肌の内側にとどまってしまうことで、発症します。
汗を排出する「汗管」が一時的に詰まってしまうと、汗がスムーズに排出されずに、あせもとなってしまうのです。
汗が詰まった結果、炎症となって、かゆみなどの症状が表れます。
あせもの種類
あせもと一重に言っても、3種類あります。
汗がどの部分でたまってしまうのかによって、種類が異なります。
- 水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)……表皮の一番表面にある角質層で起き、炎症やかゆみがないため、気づかない可能性がある
- 紅色汗疹(こうしょくかんしん)……角質層よりも深い表皮内で起き、最も一般的と言われるあせも。アトピー性皮膚炎の方がなると、多発性汗腺膿瘍(たはつせいかんせんのうよう)が起こりやすい
- 深在性汗疹(しんざいせいかんしん)……真皮内で起きるあせも。極端な高温の環境下に長時間いると発症する可能性がある。
汗かぶれ(接触皮膚炎)
汗かぶれは、汗に含まれる成分により、肌がかぶれたり荒れたりする状態です。
原因は、汗に含まれる塩分やアンモニア、または、汗をかいて抵抗力の落ちた皮膚に対して、何らかのの刺激がある場合に起きます。
あせもと大きく違うのは、汗かぶれは外側からの刺激によって起きる症状という点です。
汗かぶれになりやすい人は、日用品にも気を付けなければいけません。
接触皮膚炎は日用品にも注意
汗かぶれは、以下のような日用品にも注意してください。
- 化粧品
- 日焼け止め
- 毛染め
- ネイル
- テープや絆創膏
異汗性湿疹
異汗性湿疹は、汗疱とも呼ばれる、水ぶくれができる症状です。
主な症状としては、手足や指、手のひらや足の裏に、かゆみや痛みを伴う水ぶくれが発生します。
皮がむけるだけで無症状の場合もありますが、赤くなって痛みを伴う場合もあります。
水虫と間違われることも多く、専門医ですら水虫と異汗性湿疹を見分けるのが難しいと言われている症状です。
あせもとかぶれは間違いやすいので注意
汗による皮膚トラブルのなかでも、最も多いのは、あせもやかぶれ。
どちらに似た症状なので、間違ってしまう人も多いです。
しかし、それぞれには以下の違いがあります。
- かぶれ……部位全体の赤みやかゆみ。外の刺激が中に伝わって炎症を起こす。
- あせも……赤いブツブツが多くみられる。汗詰まりが原因で、中から炎症を起こす。
あせもかかぶれかによって対処法も異なるので、注意してください。
汗による皮膚トラブルの改善方法
汗による皮膚トラブルの改善は、いずれもこまめにふきとるのが大事です。
または、シャワーなどで流して、清潔な状態を保ちましょう。
その他の方法として、3つを紹介します。
スキンケア
汗による皮膚トラブルで肌がかゆくなる場合は、肌のバリア機能が低下している可能性があります。
バリア機能が低下しているときは、肌環境を整えましょう。
保湿効果の高いスキンケア商品やボディクリームで、潤いを補給してください。
また、夏場の紫外線はバリア機能の低下を招くので、日焼け止めは欠かさないようにしましょう。
合わせて、十分な睡眠や栄養バランスの取れた食生活で、コンディションを整えるのも大事です。
あせもには汗対策
あせもによるトラブルの場合は、できるだけ涼しい場所で、汗をかかないようにしましょう。
吸水性や通気性に優れた下着や衣類を身に着けるのも大事です。
その他、汗対策として「塗り薬」「内服薬」「治療」などの方法もあります。
これらの対策については、以下の記事でも解説しています。
アトピー肌の場合は汗をかくことも大事
アトピー肌の場合は、汗をかかないことよりも、汗をかいた方が良い場合もあります。
アトピー肌の原因として、乾燥肌が原因になっている可能性があるからです。
「汗を正常にかくことで、アトピーが改善されるのではないか」とまで言われています。
アトピー肌の人は汗をかきにくくいので、汗をかくための運動やお風呂、サウナなども行ってみましょう。
まとめ
夏場の汗は、皮膚トラブルになりやすいです。
しかし、どのような皮膚トラブルかによって対処法は異なります。
「かゆい」「赤みがある」といった症状があると、多くの人はあせもだと考えてしまいますが、必ずしもあせもとは言えません。
汗が原因で何かしらの症状が起き、すぐに改善されない場合は、一度皮膚科まで相談してください。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗