漢方薬でニキビは改善する?ニキビ別おすすめの漢方薬
ニキビ改善の一つとして、漢方薬があります。
漢方薬はニキビの治療というよりも体内の改善ではありますが、決して効果が得られないわけではありません。
そこで今回は、ニキビ改善におすすめの漢方薬について解説します。
漢方薬の選び方についても解説するので、参考にしてください。
ただし、ニキビの治療としてガイドライン上は他の治療が優先であるので、あくまで今回は「ニキビ治療の番外編」と考えてください。
漢方でニキビは改善する?
漢方によるニキビの改善効果は、一概に効果があるとも効果がないとも言い切れません。
漢方薬は効く人には効きますが、効かない人にはまったく効かないのです。
ただし、副作用がほぼないというメリットはあるので、副作用が気になる人は使いやすいでしょう。
また、漢方薬は証があっていれば効きやすいので、体質を見て選ぶと良いです。
漢方薬の目的は体質の改善
漢方薬は、ニキビの治療を目的としている薬ではありません。
あくまで体質改善を目的としています。
そのため、体質に合った漢方薬でなければ、効果は得られないでしょう。
漢方による治療を行うポイント
漢方薬でニキビ治療を行いたい場合は、以下のポイントを理解しておいてください。
- 漢方薬はニキビ治療の補助的な役割
- 日本皮膚科学会のガイドラインでは推奨度C1(他の治療が無効であれば推奨する)
- 一般的な皮膚科では積極的に漢方薬を処方していない
あくまで根本的な治療にはならないので、医師と相談した上で漢方薬を決めると良いです。
市販の漢方薬もありますが、自身の体質に合ったものを見つけるのは難しいので、より効果を得るためには、医師に相談しましょう。
漢方によるニキビ治療への考え方
漢方医学によるニキビ治療の考え方は、身体に熱がこもることがニキビの原因とされています。
体内で発生した余分な熱が皮膚に影響を与え、外界の熱の刺激が加わり、ニキビになるとされているのです。
そのため、漢方薬では、どのような原因でどのような熱が発生するかを見極めることが肝心になります。
以下では、主な熱の発生について解説します。
不摂生
生活や飲食の不摂生は、胃腸に影響を与え、熱が停滞するとされています。
さらに脾臓を損傷することで、ニキビが発生してしまうのです。
不摂生によって生じるニキビは、主に口周り中心にできるので、口周りのニキビの場合は、不摂生に効果のある漢方薬を選んでください。
ストレス
ストレスは、精神的な刺激となり、自律神経に影響を及ぼします。
自律神経の失調は、消化能力に影響し、胃熱などの原因になるので、ニキビとなって現れてしまうのです。
ストレスが原因によるニキビは、女性であれば月経前などに現れる場合もあります。
過労
肉体疲労や精神疲労は、血液や気を損傷する原因です。
その結果、気血両虚(漢方医学において全身の機能や活動が減退し、血の働きが失われれること)となり、ニキビとなります。
睡眠不足でも悪化する傾向があるので、質の良い睡眠をとれるようにする漢方も合っているでしょう。
漢方なら妊娠中でも服用できる?
漢方薬の副作用は少ないです。
しかし、妊娠中にはおすすめしません。
妊娠中に対する漢方薬の使用に関しては、信ぴょう性の高いデータの報告がないためです。
確実に安全とは言い切れないので、妊娠中はできるだけ避けた方が良いでしょう。
漢方薬はニキビの状態から選ぶ
ニキビ改善で漢方薬を選ぶ際は、ニキビの状態から選ぶと良いでしょう。
以下では、5つのニキビに適した漢方薬を紹介します。
- 炎症のあるニキビ
- 膿が溜まったニキビ
- 繰り返しニキビ
- 黒ニキビ
- 口周りにできるニキビ
漢方の種類は様々なので、あくまで参考としてください。
実際に自身の体質に合うものとは断言できないので、医師などと相談して決めるのがベストです。
炎症のあるニキビ
炎症のあるニキビには、以下の漢方薬がおすすめです。
- 荊芥連翹湯
- 十味敗毒湯
- 黄連解毒湯
- 清上防風湯
それぞれの漢方薬は、赤みや炎症の強い場合に効果が期待できます。
膿が溜まったニキビ
膿が溜まっているニキビには、以下の漢方薬がおすすめです。
- 排膿散及湯
- 黄連解毒湯
- 十味敗毒湯
それぞれは、余分な水分を取り除く効果に期待できる漢方薬です。
化膿を抑える効果があるので、湿疹や皮膚炎などにも用いられます。
繰り返しニキビ
繰り返しニキビには「十味敗毒湯」がおすすめです。
幅広いニキビに効果があるとされており、初期のニキビ治療には向いています。
その他、蕁麻疹や皮膚炎などにも効果が期待。
身体が弱っている場合には向いていません。
黒ニキビ
黒ニキビにおすすめの漢方薬は以下の2つ。
- 桂枝茯苓丸
- 荊芥連翹湯
黒ニキビは、身体の巡りが悪く、毛穴が詰まっている状態なので、血の巡りを良くする上記の漢方を使うと良いでしょう。
さらに、冷えのぼせや生理痛、肩こりにもおすすめです。
口周りにできるニキビ
口周りにできるニキビには「半夏瀉心湯」がおすすめです。
不摂生な食事や胃腸障害を伴っているニキビに適応しています。ただし、ニキビの症状だけでは処方されません。
ニキビだけではなく、慢性的な胃腸炎や消化不良がある場合に使います。
まとめ
漢方薬は、効果を感じる人は確かにいます。
しかし、万人に効くわけではありません。
試してみたい場合には試してみましょう。
あまりにも悪化していたり、炎症がひどい場合には、おすすめしないこともあります。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗