ニキビ治療はニキビ跡治療が先か?新しいニキビ治療が先か?
春の時期は、ニキビで受診される方が増えます。
その時によくお話が上がるのは、「ニキビ跡をまず治したいです」という要望。
ニキビ跡は見た目に影響を及ぼすので、気になってしまう人は多いです。
しかし、優先するべきは「ニキビをできにくくすること」と考えています。
そこで今回は、私の考えについて、お話させていただきます。
ニキビ治療の基本はニキビをできにくくする
ニキビ治療の基本は「新しいニキビを作らない」です。
そのため、優先的にすすめるべきなのは、ニキビ跡の治療ではなく、にきびをできにくくすることだと考えています。
また、ニキビ跡の治療は時間もかかりますし、保険診療の中でやれることが少ないのが現状です。
しかし、ニキビをできにくくする治療は、保険診療の中でもかなり多くあります。
ニキビをできにくくする治療を優先的に行えば、今後ニキビ跡になるような大きなニキビができにくいので、結果的にお得かつ効率的なのです。
ニキビ跡だけ優先して治療した場合
結論から言えば、ニキビ跡だけを優先する治療はおすすめしません。
例えば、ニキビのできやすい人が、ニキビ跡の治療を優先したとしましょう。
ニキビ跡の改善に期待はできますが、治療に時間がかかってしまいます。
その間にも、ニキビはできてしまうので、結果的に治療の繰り返しになってしまうのです。
このことから、まずはニキビをできにくくする治療が大事だと言えます。
新しいニキビだけを治療する場合
新しいニキビだけを治療するのも、おすすめはしません。
当然ニキビ跡は残ってしまいますし、ニキビができやすい肌が改善するわけではないからです。
新しいニキビができてまた治して……の繰り返しになってしまいます。
ニキビ治療とニキビ跡でどちらが先とは一概に言えない
ニキビ治療とニキビ跡の治療では、どちらを優先するべきとは一概に言えません。
優先すべきなのは「ニキビをできにくくする」ことだからです。
ニキビをできにくくしてから、いずれかを治療するといった選択が、最良の手段と考えます。
ニキビをできにくくする主な治療方法
ニキビをできにくくする治療方法として、主なものを紹介します。
薬の効果の強さは、以下のような順番になります。
- イソトレチノイン
- エピデュオゲル
- アダパレン・ディフェリンゲル
- レチノール化粧品
上記のうち、イソトレチノイン・レチノール化粧品は保険適用外となります。
以下では、保険適用の治療と保険適用外の治療に分けて、薬の特徴を解説するので、ご自身に合ったものを選んでください
または、皮膚科医に相談して、最適な治療方法を提案してもらいましょう。
保険適用の治療
保険適用の治療は、主に塗り薬になります。
- エピデュオゲル
- アダパレンゲル
- ディフェリンゲル
それぞれの薬の特徴について解説するので、処方してもらう際の参考にしてください。
また、保険適用の薬については、以下でも解説しています。
エピデュオゲル
エピデュオゲルは、2つの成分がニキビに作用します。
- アダパレン……白ニキビを強力に治療・目に見えないできかけのニキビを治してくれる
- 過酸化ベンゾイル……有効な殺菌作用を持つ物質
保険適用で処方できる塗り薬のなかでは、最も強い治療薬と言っても過言ではないと考えています。
ニキビを治すだけでなく、できかけのニキビも治してくれます。
また、保険適用の塗り薬としてアダパレンゲルがありますが、エピデュオゲルのなかにはアダパレンが含まれているので、エピデュオゲルのみで十分です。
ディフェリンゲル
ディフェリンゲルは白ニキビ・赤ニキビ・黄ニキビ、どの段階にも作用します。
エピデュオゲルと同様にアダパレンが配合されている薬です。
ニキビを改善する効果に期待できるのはもちろん、ニキビをできにくくする効果があるので、新しいニキビを防ぐ際にぜひおすすめします。
保険適用外の治療
保険適用外の治療として、当院ではイソトレチノインをおすすめしています。
イソトレチノインはビタミンA誘導体の内服液です。
中度から重度のニキビに対してニキビ改善効果があり、有効率は90%と言われています。
日本では認可がおりていないため保険適用外ですが、決して危険な薬ではありません。
その証拠に、欧米では20年以上使われています。
イソトレチノインについては、以下の記事で具体的に解説していますので、そちらも参考にしてください。
まとめ
ニキビの治療を行う際は、ぜひ「ニキビをできにくくする治療」を検討してください。
もちろん、新しいニキビを治したりニキビ跡を治したりする治療も大事です。
しかし、最も重要なのは「今後ニキビをできなくすること」ではないでしょうか。
当院でも新しいニキビの改善やニキビ跡治療も行っていますが、「ニキビをできにくくする」ことに重点を置いています。
どのような治療が自身の肌に合っているかわからない場合は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗