美容皮膚科学会での理解と学びレポート
先日美容皮膚科学会に参加しました。
そこで今回は、美容皮膚科学会にて学んだシミ治療について、共有していきます。
シミ治療についての潮流
シミ治療については、年々変化を見せています。
とくに今回大きな学びになったのは、「シミ治療の移り変わり」でした。
シミ治療の移り変わり
シミ治療はかつてはシミ取りだけが中心でした。
しかし、昨今では部分的なシミ治療を求める患者さんは少なくなっており、部分的なシミだけの治療ではなく、顔全体の治療に変遷している傾向があります。(特に都会では)
シミ治療は全体的な治療が必要
シミ治療と言うと、これまでは老人性色素斑・脂漏性角化症などの「SK」を治療するものが一般的でした。
しかし、実際のシミはそばかす・肝斑・色素沈着・あざが混在しているケースが多くあり、全体的な治療が必要だと一般の方の認識も変わってきていることを実感しました。
主なシミの種類
上記でシミの種類について言及しましたが、ここで改めて主なシミの種類について簡単に解説します。
主なシミの種類は、以下の6種類になります。
- 老人性色素斑…いわゆる一般的なシミ
- 肝斑…女性ホルモンのバランスの乱れが原因となって発生するシミ
- 脂漏性角化症…加齢によってできるいぼ
- そばかす…主に両頬・下まぶた・鼻背などにできる褐色斑点状の色素斑
- ADM…いわゆるあざ
- 炎症性色素沈着…けがややけど後に生ずる一時的な色素沈着
当院では、それぞれに合わせた治療方法を用意しておりますので、しみでお悩みの方はご相談ください。
当院のシミ治療の種類
当院では、さまざまなしみに合わせた治療を提案しています。
- ソラリコース…シミ・そばかすに加え、小じわ・赤ら顔・にきびなどの肌トラブルの改善
- シミ取り単発…しみの数が少なかったり小さかったりする際の単発コース
- オーダーメイドコース…各種レーザー・フォトフェイシャル・点滴・内服などの6種類の治療メニューを組み合わせたオリジナルコース
- シミ取りコース…計4回、約2週間の通院でしみを改善していくコース
- ルートロトーニング…肝斑治療に最適なレーザー
詳しくは以下のページで解説しておりますので、そちらも参考にしてください。
ピコレーザーの立ち位置
美容皮膚科学会では、ピコレーザーについての学びもありました。
ピコレーザー自体は市場に出回って10年ほど経過し、ここ数年で広まってきている傾向です。
昨今では「ピコの治療を受けたい」という形で普及もしており、適応が確認できるほどの経験も集まってきています。
ピコレーザーについて詳しくは、以下の記事も参考にしてください。
ピコレーザーとは?「ピコトーニング・ピコフラクショナル・ピコスポット」それぞれの違い
トーニングとピコトーニングの違い
通常肝斑のシミが混在している場合であれば、ピコトーニングよりもナノセカンドトーニング(いわゆる従来のレーザートーニング)の方が効果は高いです。
しかし、ナノセカンドトーニングをやり過ぎると色素脱失の副作用が出る可能性があるため、ある程度ナノセカンドトーニングで治療をおこなった後に、ピコトーニングに切り替えるのが良さそうです。
レーザートーニングとは?
レーザートーニングは、一般的なレーザー治療よりも低出力でレーザーを照射する治療法です。
出力が低いので、メラノサイトを刺激せずにメラニン色素を破壊できます。
ピコトーニングとは?
レーザートーニングよりも新しい治療法として注目されているのが、ピコトーニングです。
従来のレーザーは熱によってメラニン色素を破壊していましたが、ピコトーニングでは衝撃波でメラニン色素を破壊します。
熱による皮膚への影響を抑えた治療が可能になりました。
パルス幅の違い
エネルギーを伝えるための照射時間を、パルス幅と言い、パルス幅が短いのはピコトーニングです。
パルス幅が短いピコトーニングであれば、短時間かつ効果的に照射エネルギーを伝えられます。
施術時の熱の違い
レーザートーニングは患部に熱を与えてメラニン色素を破壊します。
一方で、ピコトーニングは衝撃波によってメラニン色素を破壊するので、肌に対する熱ダメージが加わりません。
波長の違い
波長は、長ければ長いほど肌の深層に刺激が伝わります。
ピコトーニングとレーザートーニングで比べると、波長が長いのはレーザートーニングです。
痛みの違い
ピコトーニング、レーザートーニングいずれにおいても多少の痛みの可能性はあります。
ただし、熱を照射するレーザートーニングの方が痛みが長くなる傾向です。
従来のシミ取りレーザーとピコスポットの違い
しみ取りの観点では、従来のしみ取りレーザーの方がたくさん取れるとは言えます。
しかし、従来のしみ取りレーザーは、しみ取り後の色素沈着が40%~50%出てしまうとのが問題点でした。一方でピコスポットであれば10%程度に抑えられそうです。ただし、ピコスポットはシミが1度に取り切れないことはよくあります。
そのため、色素沈着が気になる患者さんに対しては、ピコスポットをおこなう選択肢はありだと考えられます。
治療回数の違い
従来のシミ取りレーザーとピコスポットでは、ピコスポットの方が治療回数が多いです。
従来のしみ取りレーザーでは1~2回で効果を出せましたが、ピコレーザーはほとんどの場合、複数回の治療も考える必要があります。
痛みの違い
従来のレーザー治療は、熱によってメラニン色素を破壊していたため、痛みが感じやすいものでした。
対して、ピコレーザーは従来レーザーより1000分の1の照射時間となり熱も与えないので、かなり痛みを抑えられます。
ダウンタイムの違い
ピコレーザーは、治療後にかさぶたになることも少なく、ダウンタイムもほとんどありません。
治療後に赤みが出るケースもありますが、施術後にメイクをしても問題ない程度です。
まとめ
今回の美容皮膚科学会では、シミ取り治療の流行の移り変わりなどについて学べました。
患者さんの需要や各美容皮膚科においての治療方法も、時代とともに変化しています。
今後も新しい発見等がありましたら共有いたします。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗