ニキビに有効的なアゼライン酸の特徴や副作用について
ニキビに対して有効な成分の、アゼライン酸についてご存じでしょうか。
日本では未承認であるため、多くの皮膚科ではアゼライン酸高濃度配合クリーム「DRX AZA クリア」を採用しています。
そこで今回は「アゼライン酸」の特徴や効果について解説します。
ニキビに悩まれている人は、参考にしてください。
アゼライン酸とは
アゼライン酸は、小麦粉やライ麦などの穀類に含まれる飽和ジカルボン酸です。
小麦やライ麦は食用として用いられる成分なので、刺激が少ないことでも知られています。
アゼライン酸には皮脂の分泌抑制作用、角化の抑制作用及び抗菌活性、抗炎症作用などが報告されており、ニキビへの有効性も期待できます。
日本においてはまだ未認証ではあるものの、安全性は高いです。
その他にも、多くの特徴やメリットを持っているので、以下で詳しく解説します。
ニキビだけではなくニキビ跡にも効果が期待
アゼライン酸は、炎症を起こしているニキビだけではなく、ニキビ跡への効果も期待できます。
ただし、クレーターや凹凸のニキビ跡ではなく、色素沈着のニキビ跡に限定されます。
ニキビ跡に効果が期待できる理由は、アゼライン酸のチロシナーゼ活性阻害作用。
チロシナーゼ活性阻害作用によって、色素沈着を抑制し、美白効果が期待できます。
酒さや脂漏性皮膚炎にも有効
アゼライン酸は、酒さ(湿疹やニキビ様の丘疹が混じった状態)や脂漏性皮膚炎への効果も認められています。
カセリサイディンの活性化を抑制する効果があるためです。
また、アゼライン酸の皮脂分泌抑制や抗菌作用が、脂漏性皮膚炎の炎症性変化に効果があると言われています。
ニキビだけではなく、肌の赤みが気になる人は、一度皮膚科などでアゼライン酸の使用を相談してみましょう。
妊娠中でも安心して使える
ニキビの薬などのなかには、妊娠中には使えない薬もあります。
しかし、アゼライン酸は妊娠中でも問題ありません。
アゼライン酸には催奇形性がないため、妊娠中でも安心して使用できます。
皮膚への刺激も、他の薬品と比べて少ないです。
レチノールとの合わせて使っても問題なし
レチノールは、ビタミンAとその誘導体を表わします。
レチノールも、ニキビに対して有効的な成分です。
成分によってはレチノールと合わせて使わない方が良いものもありますが、アゼライン酸はレチノールとの併用も問題ありません。
また、ニキビ治療で処方される過酸化ベンゾイルとの併用も可能です。
レチノールの効果については、以下の記事でも解説しているので、参考にしてください。
ニキビにはレチノール(レチノイド)が効果的|レチノイドとは?
アゼライン酸の効果
アゼライン酸の効果をご紹介します。
- 毛穴の詰まりを解消
- ニキビ菌の増殖抑制
- 皮脂分泌抑制
- 抗酸化作用
- 美白作用
毛穴やニキビ菌に直接作用するだけではなく、抗酸化作用や美白作用もあります。
そのため、ニキビ予防からケア、ニキビ跡の改善まで1つで対応できます。
アゼライン酸を使ったニキビ治療
アゼライン酸は、海外では数十年以上もニキビ治療の薬品として使われています。
海外の研究では、白ニキビ・赤ニキビともに有効性が証明されているのです。
アゼライン酸がニキビ治療に用いられる理由
ニキビの治療薬としては、過酸化ベンゾイルやアダパレンという成分が認可されています。
この過酸化ベンゾイルやアダパレンも、ニキビの原因となる毛穴の詰まりを取り除く作用があります。
その一方で、過酸化ベンゾイルやアダパレンは、以下のような副作用も確認されています。
- 刺激や乾燥を感じる場合がある
- 皮むけが強く出すぎる場合がある
そのような肌が弱い方には、刺激や乾燥が少ないアゼライン酸が好まれています。
アゼライン酸は、ニキビに対しての作用に即効性はありません。
しかし、他のニキビ治療薬と違って耐性菌の発現が報告されていないので、長期間継続して使用可能です。
日本においてもニキビ治療に対する安全性・有効性が確認されており、治療の選択肢として推奨されています。
また、以下の理由から普段のスキンケアに取り入れやすいのも特徴です。
- 美白剤として開発されていた
- 毛穴詰まりの除去や抗酸化作用がある
自分の肌に合ったスキンケア用品が見つからない方は、アゼライン酸を配合した製品を使ってみることをおすすめします。
アゼライン酸の使用方法
アゼライン酸を使用する際は、1日2回、朝と晩に使用します。
アゼライン酸を使用する手順は、以下の通りです。
- 洗顔する
- 保湿する
- アゼライン酸を使う
- 日中は日焼け止め
まずは、たっぷりの泡で優しく洗顔し、洗顔後はすぐに保湿を行います。
保湿が不十分だと、アゼライン酸を使用する際に刺激を感じやすくなります。
ニキビが気になる際は、ニキビ肌専用の保湿製品を使用しましょう。
アゼライン酸は、適量を手に取ってニキビが気になる部分に優しく馴染ませます。
刺激を抑えるためには、気になる部分にポイント使いがおすすめです。
目の周りなど皮膚の薄い部分や傷のある部分の使用は控えましょう。
また、紫外線はシミやしわの原因となるだけでなく、ニキビも悪化させてしまいます。
紫外線によって皮膚のバリア機能が低下すると、肌が乾燥してアゼライン酸の刺激を感じやすくなる場合もあります。
肌を守るためにも、日中は必ず日やけ止めを使用しましょう。
アゼライン酸の副作用について
アゼライン酸は、基本的に副作用の少ない成分です。
しかし、全く副作用がないわけではありません。
以下では主な副作用の2つについて解説します。
使い始めの刺激について
アゼライン酸は、天然由来の酸です。
小麦などの穀類に含まれている成分ではあるものの、酸ではあるため、多少の刺激を感じる場合があります。
ただし、刺激を感じるのは、ほとんどのケースで使い始めだけです。
少しずつ肌に慣らしながら使えば、刺激は少なくなっていきます。
熱感・かゆみが続く
アゼライン酸によって、熱感やかゆみを感じる場合があります。
しかし、1~2週間程度であれば気にする必要はありません。
気になるようであれば、使用の頻度を減らしてみてください。
それでも症状が治まらない場合は、処方された皮膚科で相談しましょう。
刺激症状が続いた場合
刺激症状が続き、耐えられないと感じた場合は使用量を減らしてください。
1日間隔をあけるなどの工夫をしていけば、ほとんどの場合は治まります。
ある臨床試験では、刺激症状は報告されているものの、一過性であることがほとんどとされています。
アゼライン酸の注意点
アゼライン酸には様々な作用がありますが、使用する際は注意点もあります。
安心してアゼライン酸を使用するためにも、3つの注意点をご紹介します。
アゼライン酸だけでは改善しないこともある
アゼライン酸の作用はニキビや肌荒れの改善に有効ですが、原因が多岐にわたる場合はアゼライン酸だけでは不十分なこともあります。
その際は、アゼライン酸だけではなく、他の治療薬と組み合わせることになります。
自己判断をせず、皮膚科医や薬剤師に症状を相談しながら最適な治療方法を見つけましょう。
慣れるまでは単品で使用したほうが安心
アゼライン酸を初めて使用する場合、肌が慣れるまでは単品で使用することをおすすめします。
肌が慣れていない段階で複数の製品を同時に使用すると、刺激が強すぎて肌トラブルを引き起こす可能性があるためです。
アゼライン酸に肌が慣れてきてから、徐々に他の製品を取り入れるようにしましょう。
また、最初から複数の製品を同時に使って肌トラブルになってしまうと、どの製品が肌に合わないのか判断できません。
単品での使用では問題なくても、組み合わせる製品の相性によって症状が悪化するケースもあります。
クリニックでは保険適応外になる
アゼライン酸は、クリニックで処方される場合に保険適応外となります。
アゼライン酸の処方や治療に関わる費用は、全額自己負担となるので注意が必要です。
費用はクリニックによって異なるので、受診する際に確認しておきましょう。
費用面での負担を考慮しつつ、皮膚科医とよく相談しながらアゼライン酸の使用を決めることが大切です。
また、市販されているアゼライン酸配合の薬用化粧品を使用することで、費用を抑えられる場合もあります。
アゼライン酸配合コスメもおすすめ
アゼライン酸を使ってみたい人は、コスメから使ってみるのもおすすめです。
コスメであれば、気軽に購入できるので、ぜひ試してみてください。
以下では、アゼライン酸配合コスメを2つ紹介します。
シェルシュール アドバンストエッセンスAZ
参考価格 | 5,830円 |
内容量 | 30ml |
特徴 | オイルフリー・無着色・無香料・アルコールフリー |
アゼライン酸はもちろん、ヒアルロン酸なども配合されている美容液です。
アルコールもオイルも入っていないので、敏感肌の人でも安心して使えます。
ベタつきもなく、オイリーな肌もさっぱり。
多少の刺激感はあるので、少しずつ慣らしていきましょう。
エトヴォスバランシングVCクリアスポッツ
参考価格 | 2,750円 |
内容量 | 25g |
特徴 | 界面活性剤、鉱物油、シリコン、着色料、香料、パラベン、アルコール不使用 |
アゼライン酸の他、ビタミン誘導体も配合されているジェル状の美容液です。
肌に悪影響を与える成分を使用していないので、どんな肌の人でも使えます。
肌荒れはもちろん、皮脂のテカリのケアもできるので、男性にもおすすめ。
広い範囲であれば1カ月弱、部分使いであれば2~3ヵ月程度試してみてください。
アゼライン酸のQ&A
アゼライン酸に関するよくある質問に回答していきます。
アゼライン酸はニキビ用医薬品と併用できますか?
はい、ニキビ用医薬品とアゼライン酸は併用可能です。
ただし、初回は肌が慣れるまでアゼライン酸単品の使用をおすすめします。
アゼライン酸にはどの程度で慣れますか?
アゼライン酸は、約1~2週間で慣れてきます。
刺激を感じる場合は、夜のみや1日おきの使用など間をあけて徐々に慣らしていくことをおすすめします。
それでも刺激が治まらない場合は、当院へご相談下さい。
まとめ
アゼライン酸は、ニキビや色素沈着のニキビ跡に有効的なので、試してみたい方はアゼライン酸を採用している皮膚科へご相談ください。
多くの皮膚科では、ロート製薬のDRX AZAクリアを採用しています。
副作用も少なくどんな肌にも使えるので、ニキビにお悩みの方は、ぜひ試してみてください。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗