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わき汗(原発性腋窩多汗症)治療に保険適応がある、エクロックゲルとラピフォートワイプを比較してみました

[2023.07.02]

わき汗(原発性腋窩多汗症)の塗り薬として保険適応のものに「エクロックゲル」と「ラピフォートワイプ」の2つがあります。

いずれもわき汗を止める作用を持っていて、わきに直接塗るタイプの薬です。

そのため「何が違うの?どっちを選べばいいの?」と思う人もいるでしょう。

そこで今回は、エクロックゲルとラピフォートワイプの違いについて解説します。

 

エクロックゲルとは?

エクロックゲルは、2020年に塗る治療薬として発売された薬です。

わきに直接塗ることで、有効成分が皮膚から浸透して発汗をおさえます。

「ゲル」という名前のとおりゲル状の薬です。

 

ラピフォートワイプとは?

ラピフォートワイプは、2020年のエクロックゲルの発売後、2022年に発売された拭く薬です。

基本的な作用はエクロックゲルと同様で、ラピフォートワイプでわきを拭くことで有効成分が皮膚から浸透していきます。

「ワイプ=拭く」を意味しており、薬液の染みている不織布でわきを拭いて使用します。

 

エクロックゲルとラピフォートワイプの使い方の違い

エクロックゲルとラピフォートワイプは、まず使い方が異なります。

先述したように、エクロックゲルは「塗る」薬で、ラピフォートワイプは「拭く」薬です。

そのほかの使い方の違いについて、以下で解説します。

 

エクロックゲルの使い方

エクロックゲルは、基本的に1日1回、左右のわきにそれぞれポンプ1押しの薬液を塗布します。

  1. ポンプを押してアプリケーターの上に薬液をのせる
  2. 薬液をわき全体に塗り広げる

難しい使い方はなく、シンプルにわきに塗るだけです。

通常の制汗剤と使い方が似ているため違和感なく生活に取り入れることができると思います。

 

ラピフォートワイプの使い方

ラピフォートワイプは、基本的に1日1回、薬液の染みた不織布でわきを拭いて使います。

不織布1枚で両わきを拭くだけです。

1回の使用で1袋使い捨てになりますので、旅行などに持って行くのはラクだと思います。

ただし、新薬でまだ処方制限があるので、最大処方が2週間分までです。(2023年6月時点)

 

エクロックゲルとラピフォートワイプの効果の違い

エクロックゲルとラピフォートワイプのわきへ与える作用はほとんど同じです。

しかし、若干の効果差があります。

 

エクロックゲルの効果

エクロックゲルは、比較的効果が出るまでに時間がかかります。

個人差はありますが、効果が出るまでに約2週間ほどかかるでしょう。

使い始めの数日間はほとんど効果がないのですが、塗り続けることで効いてくるので諦めずに使用を続けてください。

即効性は期待できません。

 

ラピフォートワイプの効果

ラピフォートワイプは、エクロックゲルよりも効果が出るのが早いです。

個人差はありますが、1週間目からの効果に期待できます。

エクロックと同様に使い始めの数日間は効果がないので諦めずに使用を続けることが大切です。

 

エクロックゲルとラピフォートワイプの費用の違い

エクロックゲルとラピフォートワイプは、いずれも保険適用の薬です。

しかし、若干の費用の差があります。

以下では、エクロックゲルとラピフォートワイプの費用の違いについて解説します。

 

エクロックゲルの費用負担

エクロックゲルは、1本20g(14日分)で、3割負担の場合は約1450円です。

1日分で換算すると、1日あたり約120円の計算になります。

ただし、薬剤の価格なので、実際は処方箋料や初診料がかかります。

 

ラピフォートワイプの費用負担

ラピフォートワイプは、3割負担で1枚約80円です。

14日で計算した場合、約1,120円の計算になります。

大きな差はないものの、エクロックゲルと比べて若干安いです。

ただし、エクロックゲル同様、処方箋料や初診料がかかります。

 

エクロックゲルとラピフォートワイプの副作用の違い

エクロックゲル、ラピフォートワイプ、いずれも副作用があるので、使用する際は注意してください。

ただし、副作用の内容に大きな違いはありません。

基本的な副作用や注意点は、以下のとおりです。

  • 皮膚炎(かぶれなどになり皮膚のかゆみが出る)
  • 散瞳(目がまぶしい状態)
  • 霧視(かすんで見える状態)
  • 口渇(口が渇く)

など。

また、以下に当てはまる方は処方できません。

  • 閉塞隅角緑内障
  • 前立腺肥大による排尿障害

そのほか、妊婦の方や皮膚疾患がある場合は、医師の確認が必要です。

大きな違いとして、対象年齢の違いがあります。

ラピフォートワイプは9歳以上、エクロックゲルを使用できるのは12歳以上です。

 

エクロックゲルとラピフォートワイプの共通点

エクロックゲルとラピフォートワイプは、若干の違いはあるものの、基本的には似ているものです。

いずれも、エクリン汗腺が交感神経から伝えられる汗を出す指令を受け取れないようにブロックすることにより発汗を抑える仕組みになっています。

また、いずれも保険適用なので、比較的費用は安いです。

そのため、一概にどちらを選ぶべきとは言い切れません。

 

まとめ

重度のわき汗で悩まれている方は、エクロックゲルかラピフォートワイプをおすすめします。

先述したように、どちらも大きな違いはありません。

「塗る」か「拭く」かの違いなので、使いやすさで選ぶと良いでしょう。

使いやすさの点で言えば、エクロックゲルの方が多少かさばりやすいので、持ち運びにはラピフォートワイプが便利です。

効果が出るまでの差は多少ありますが、効果自体も変わらないので、自身の使いやすい方で検討してみてください。

 

 

 

文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック  院長 祖父江 千紗

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