高濃度ビタミンC点滴の効果と副作用
高濃度ビタミンC点滴についてご存じですか?
名前のとおり、ビタミンを直接体内へ点滴で入れる治療です。
経口摂取と比べて、直接体内へ届くため、高い効果に期待できます。
当院では多くの方が美肌・美白目的で高濃度ビタミンC点滴をレーザーと併用して行っています。
しかし、最近では点滴のみ希望される方も増えてきました。そこで改めて高濃度ビタミンC点滴の効果と副作用をまとめてみたいと思います。
高濃度ビタミンC点滴とは
高濃度ビタミンC点滴とは、ビタミンCを直接体内に入れる治療です。
ビタミンCは食事などの経口摂取もできますが、経口摂取では吸収が良くありません。
点滴ビタミンCを体内に入れると、血中濃度が高くなり、強力な抗酸化作用があります。
身体の隅々までビタミンCがいきわたり、様々な効果に期待できるのです。
高濃度ビタミンC点滴がおすすめな人
高濃度ビタミンC点滴は、肌や健康に良いため、以下のような人におすすめです。
- 慢性疲労
- 喫煙・飲酒が多い
- ストレスが溜まりやすい
- 免疫力が低下している
- シミ・シワが気になっている
- 肌荒れ
- ニキビ
生活習慣が乱れている人から肌の悩みがある人、病気になりやすい人など、幅広いトラブルをカバーしてくれます。
高濃度ビタミンC点滴を受けられない人
高濃度ビタミンC点滴の治療は、一部受けられない人がいます。
治療を受けられない人は、以下に当てはまる人です。
- 持病を持っている
- 既往歴がある
- アレルギーがある
- 内服薬・外用薬を使用している
- 妊娠している
- G6PD欠損症
とくに「G6PD欠損症」の人は注意してください。
G6PD欠損症は、数千人に一人に発症する先天性遺伝性疾患です。
G6PD欠損症の人が高濃度ビタミンC点滴を行うと、溶血性貧血を引き起こしてしまいます。
そのため、G6PD欠損症の検査を行ってから治療を行うのが一般的な流れです。
検査が出るまでに時間のかかるクリニックもありますが、当院では、5分で結果が出るG6PD検査を実施しています。
高濃度ビタミンC点滴で期待できる効果
先述したように、高濃度ビタミンC点滴は、幅広いトラブルへの効果が期待できます。
主な効果は、肌トラブルや免疫力の向上などです。
その他、抗アレルギー・がん予防・歯周病予防などの効果にも期待できます。
以下では、とくに期待できる効果として、5つを紹介します。
抗酸化作用
健康を保つためには、抗酸化作用が重要です。
老化や生活習慣病、肌荒れなどは、活性酸素によって誘発されます。
しかし、抗酸化作用は活性酸素から体を守る働きがあるのです。
また、紫外線で生まれる活性酸素も老化の大きな原因となりますが、ビタミンCによる強い抗酸化作用は活性酸素を除去してくれるため、老化予防にもなります。
免疫力の向上
ビタミンCは、リンパ球の働きを活性化し、抗ウイルス作用のある「インターフェロン」を増やす効果があります。
インターフェロンが増えると、免疫力が向上し、感染症から体を守ってくれるのです。
たとえば、風邪やインフルエンザの感染、また症状の緩和にも期待できます。
もし感染症にかかった場合でも、回復が早まる効果もあると言われています。
美肌・美白効果
ビタミンCは、美肌・美白効果への効果も高いです。
主に、シミやシワ、ニキビやたるみなどの予防効果が期待できます。
これは、ビタミンCのメラニン生成を抑制する効果や、コラーゲンの生成を促進する効果によるものです。
小さな肌のトラブルから老化まで、幅広い肌の悩みを解決してくれます。
疲労回復効果・抗ストレス効果
ビタミンCの抗酸化作用は、疲労回復にも効果的です。
さらに、ストレスによる身体への悪影響も抑えてくれます。
人は、ストレスを感じるとビタミンCが消費され、活性酸素が体内に溜まりやすく、血流が悪くなります。
ビタミンCの抗酸化作用はストレスを緩和させる働きがあるので、ストレスに強く、疲れにくい体を作ってくれるのです。
生活習慣病の予防
ビタミンCは、生活習慣病の予防にも効果的です。
生活習慣病と言われる、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞は、酸化した血中コレステロールが増えることによる動脈硬化が原因と言われています。
ビタミンCは動脈硬化を促進する過酸化脂質の生成を抑制し、酸化した血中コレステロールを低下させてくれるのです。
さらに、血糖値の改善にも期待できます。
高濃度ビタミンC点滴で起こる副作用
高濃度ビタミンC点滴には、いくつかの副作用が報告されています。
ただし、重篤な副作用はないと報告されているので、必要以上に不安に感じることはありません。
以下では、比較的起こりやすいとされている3つの副作用について解説します。
- 点滴痛
- のどの渇き
- 低血糖
また、上記3つの副作用の他にも、高浸透圧の点滴のため、気分不良が出ることがあります。
お水を沢山飲んで数時間休憩すれば、改善するケースがほとんどなので、心配することはありません。
点滴痛
高濃度ビタミンC点滴に限りませんが、点滴治療は局所的な痛みを感じることがあります。
ただし、点滴による痛みであり、ビタミンCの副作用ではないので、心配する必要はありません。
点滴から数時間経過すれば、痛みは治まります。
のどの渇き
高濃度ビタミンCには、利尿作用があります。
そのため、水分が身体から排出されてしまい、喉が渇きやすくなります。
点滴中は水分の補給が可能なので、こまめに水分をとれば問題ありません。
低血糖
ビタミンCによって、低血糖を生じるケースがまれにあります。
これは、ビタミンCの化学構造がブドウ糖の似ているため、身体が血糖を下げるインスリンを分泌してしまうからです。
そのため、点滴前はできるだけ食事を摂取するようにしましょう。
まとめ
高濃度ビタミンC点滴は、肌や健康におすすめの治療です。
2022年になって高濃度ビタミンC点滴に興味を持つ方が増えたのは、日常的にストレスを感じる方が増えたためかもしれません。
肌のトラブルが気になる人から病気が気になる人まで、お役立ていただけると思います。
ただし、解説したように、一部治療を受けられない人や副作用を起こすケースもあります。
もし、疑問点や不安点があれば、一度クリニックに相談してください。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗