咽頭がん
咽頭がんは、のどの奥にある「咽頭」にできるがんです。咽頭は、鼻の奥から食道や気管へつながる通り道で、呼吸や飲み込み、声の響きにも関わる大切な場所です。この部位にがんができると、のどの違和感、飲み込みにくさ、声の変化、首のしこりなど、さまざまな症状があらわれることがあります。ただし、初期の段階でははっきりした痛みが出ないこともあり、「風邪が長引いているだけ」「少しのどが変なだけ」と思ってしまいやすい病気でもあります。
特に、片側だけのどに違和感がある、なかなか治らない痛みがある、血の混じった痰が出る、声がかすれる、首にしこりがあるといった症状が続く場合には、注意が必要です。すずらんクリニックでは、耳鼻咽喉科の立場から、のどの見えにくい部分まで丁寧に確認し、気になる症状を見逃さない診療を大切にしています。咽頭がんは、早い段階で見つかるほど治療の選択肢が広がることがあります。軽い症状に見えても長引くときは、どうぞご相談ください。
咽頭がんの症状について
咽頭がんでは、次のような症状がみられることがあります。
- のどの違和感
- 飲み込むときの痛み
- 飲み込みにくさ
- 食べ物がつかえる感じ
- 声のかすれ
- のどに何か張りついている感じ
- 血の混じった痰
- 長引く咳
- 耳の痛みのように感じる違和感
- 首のしこり
- 口臭が気になる
- 体重減少
咽頭がんの症状は、できる場所によって少しずつ異なります。上の方にできる場合は鼻の奥の違和感や鼻づまり、耳のつまり感として気づかれることがあります。下の方にできる場合は、飲み込みにくさや、食事のときのしみるような痛みが目立つことがあります。首のリンパ節に転移して、最初に首のしこりとして見つかるケースもあります。
こうした症状は、風邪、扁桃炎、上咽頭炎、逆流性食道炎などでも起こりえます。そのため、症状だけでがんと決めつけることはできません。一方で、一般的な炎症なら落ち着いてくるはずの症状が何週間も続く場合や、片側だけの違和感が続く場合には、丁寧な確認が大切です。
咽頭がんの原因について
咽頭がんの原因はひとつではなく、いくつかの要因が重なって発症すると考えられています。
喫煙
たばこは、咽頭を含む頭頸部の粘膜に長く刺激を与えるため、発症との関連が指摘されています。吸っている期間や本数が多い方ほど影響が大きくなる傾向があると考えられています。
飲酒
アルコールも咽頭の粘膜に負担をかける要因のひとつです。特に喫煙と飲酒の両方がある場合には、リスクが高まる可能性があるとされています。
HPV感染
中咽頭がんの一部では、HPV、ヒトパピローマウイルスが関わっていることがあります。HPVとは、皮膚や粘膜に感染するウイルスの一種です。ただし、HPVが関係するすべての方が咽頭がんになるわけではありません。
慢性的な刺激や炎症
口腔内やのどの環境、慢性的な炎症、栄養状態などが影響する可能性も考えられています。ただ、これだけで発症を説明できるわけではなく、複数の要素が関わっていることが多いです。
咽頭がんの病気の種類について
咽頭は大きく三つの部位に分けられます。どこにできるかによって、症状の出方や治療の考え方が変わってきます。
上咽頭がん
上咽頭は、鼻の奥とのどの境目にあたる場所です。ここにがんができると、鼻づまり、鼻血、耳のつまり感、聞こえにくさ、首のしこりなどがきっかけになることがあります。口を開けても見えにくい部位なので、診断には注意が必要です。
中咽頭がん
中咽頭は、口を開けたときに見えるのどの奥のあたりで、口蓋扁桃や舌のつけ根を含む部分です。のどの痛み、飲み込みにくさ、片側の違和感、口臭、首のしこりなどで気づかれることがあります。HPVが関与するタイプがみられることもあります。
下咽頭がん
下咽頭は、のどのさらに下、食道の入り口に近い部分です。飲み込みにくさ、しみるような痛み、声のかすれ、体重減少、首のしこりなどがきっかけになることがあります。比較的見つかりにくい部位でもあるため、症状が続く場合には注意が必要です。
咽頭がんの検査と診断について
咽頭がんが疑われる場合には、まず症状の経過を詳しくうかがい、のどや首の状態を丁寧に確認します。
視診と触診
口の中や見える範囲ののどを観察し、首のしこりや腫れがないかを触れて確認します。片側だけの変化がないかも大切なポイントです。
ファイバースコープによる診察
咽頭の奥は見えにくい場所が多いため、必要に応じてファイバースコープを用いて鼻やのどの奥を観察します。特に上咽頭や下咽頭は、こうした確認がとても重要です。
画像検査や病理検査
病変が疑われる場合には、連携医療機関でCTやMRIなどの画像検査、組織を採って調べる病理検査が必要になることがあります。当院では、必要なタイミングで適切な医療機関へご紹介します。
咽頭がんの治療法について
咽頭がんの治療は、がんができた場所、大きさ、広がり方、年齢や全身状態などを踏まえて決められます。一般的には、手術、放射線治療、薬物療法を組み合わせて考えることが多いです。
手術
がんを取り除く治療です。病変の部位や広がりによっては、内視鏡的な手術が検討されることもあれば、より大きな手術が必要になることもあります。
放射線治療
病変のある部分に放射線を当てて治療する方法です。咽頭の機能をできるだけ保つことを考えて選択される場合もあります。
薬物療法
抗がん剤や分子標的薬、免疫に関わる治療などが検討されることがあります。単独ではなく、放射線治療と組み合わせて行うケースもあります。
治療内容は個々の状況で異なり、どれが適切かは一律には言えません。当院では、診断後に必要な専門治療へスムーズにつながるよう、わかりやすくご説明しながらご案内しています。
咽頭がんについてのよくある質問
Q1. のどの違和感だけでも咽頭がんのことはありますか
A1. あります。ただし、のどの違和感の原因はがん以外にも多くあります。症状が数週間以上続く、片側だけ気になる、だんだん強くなるといった場合には、一度確認しておくことが大切です。
Q2. 首のしこりから見つかることもありますか
A2. はい。咽頭の病変そのものより先に、首のリンパ節の腫れで気づかれることがあります。首のしこりが続く場合も、耳鼻咽喉科での診察が大切です。
Q3. 風邪とどう見分ければよいですか
A3. 風邪でものどの痛みや違和感は出ますが、通常は時間とともに改善していきます。治りにくい、片側だけ続く、血の混じった痰がある、声がかすれる、首のしこりがあるといった場合には、より詳しい確認が必要です。
Q4. 耳鼻咽喉科で相談してよいのでしょうか
A4. もちろんです。咽頭は耳鼻咽喉科が専門とする部位のひとつです。見えにくい場所だからこそ、のどの違和感が続く場合には、まず耳鼻咽喉科での診察をご検討ください。
院長より
咽頭がんは、初期にははっきりした症状が出にくく、風邪やのどの炎症と区別しにくいことがあります。だからこそ、長引くのどの違和感や飲み込みにくさ、片側だけの症状を見逃さないことが大切です。実際に診療の中でも、「ずっと風邪が治らないと思っていた」「のどの違和感くらいで受診してよいのか迷っていた」とお話しされる方は少なくありません。
すずらんクリニックでは、確かな専門性に基づく丁寧な医療を心がけ、耳鼻咽喉科専門医として、のどの見えにくい部分までしっかり確認することを大切にしています。必要以上に不安をあおるのではなく、気になる症状があるときに、きちんと確認して安心につなげることも大切な診療だと考えています。のどの違和感や首のしこりなど、気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
