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高尿酸血症(痛風)について

高尿酸血症とは

血漿中の尿酸値が7.0mg/dLより高いものを高尿酸血症と定義しています。

高尿酸血症は男性が多く、最近は20-30歳代の若年発症も増えています。
成人男性の15-20%と言われており、痛風発作は以前は50歳以上の人に多かったですが、30代に初回の痛風発作を経験する人も増えており、発病年齢の若年化が進行中の疾患です。
一方で女性では閉経前に1%程度、閉経後に3-5%と頻度は低いです。

 

高尿酸血症の代表的な合併症には、
・尿酸結晶沈着によって生じる痛風発作、腎機能障害、尿路結石、痛風結節など
・尿酸結晶沈着と関係ない高血圧慢性腎不全、心血管疾患、インスリン抵抗性など
の、生活習慣病との関連も指摘されています。

高尿酸血症の代表的な合併症

高尿酸血症の代表的な合併症は上記で記載したように、尿酸結晶沈着によるものと尿酸結晶沈着と関係ないものに分かれます。

尿酸結晶沈着による代表的な疾患として痛風発作があります。痛風発作は血清尿酸値が高いと痛風発作が起きやすいことがわかっています。通常、尿酸の産生量と排泄量はほぼ一定に保たれています。尿酸値が7mg/dLまでなら、尿酸は血液に溶けていますが、これを超えると溶けきらずに結晶となり、体のさまざまな場所に蓄積され始めます。

尿酸結晶は普段は体内にはないので、異物として認識され白血球が異物と判断し排除しようとします。そのような反応が関節内で生じることで関節が腫れ上がり、激しい痛みがでます。これが痛風発作です。
痛風発作はとても激しい痛みで、足の親指の関節に起こることが多いですが、激しい痛みのために歩行困難になることもしばしばあります。

高尿酸血症は腎臓にも影響を与えます。尿酸結晶が腎臓の尿細管腔や間質に沈着することによって生じます。

痛風腎と高率に合併する高血圧とあいまって腎機能低下が徐々に進行することが多く、透析導入の原疾患の1%弱を占めています。
結石は尿酸の排泄量の増加に伴って尿酸結石の発症の頻度が高くなります。また尿の酸性化によって、より尿酸ができやすくなります。
尿酸結晶沈着と関連しないものに高血圧、慢性腎不全、心血管疾患、インスリン抵抗性などがありますが、高尿酸血症がこれらの疾患の原因になるということではなく、高尿酸血症を有する人にはこのような疾患を有している人が多いと言えます。

 

高尿酸血症の原因

高尿酸血症は腎臓からの尿酸の排泄が低下するか、産生が亢進するか、両者が混合して存在しているかによって生じます。
主な原因は腎臓からの尿酸の排泄低下が起因していると言われており、尿酸排泄低下は肥満や遺伝も関連しているとされます。

割合としては低くはなりますが、尿酸の産生が増加するものには
・プリン体を多く含む食べ物
・アルコールの過剰の摂取
などがあります。

プリン体を多く含む食品としては、フォアグラ、アンチョビ、アスパラガス、コンソメ、ニシン、グレービーソース、きのこ類、ムール貝、イワシ、子羊や子牛の胸腺や膵臓などはあります。
また、アルコールの摂取もプリン体を多く含むため、食品とアルコールを一緒に取ることは高尿酸血症を悪化させるため注意が必要です。
しかし、予防として厳格なプリン体摂取の制限をしても尿酸値は少ししか下がらない事が多いです。これは、尿酸の排泄低下が原因の多くを占めるためです。

高尿酸血症の治療

高尿酸血症の治療は、
・痛風の発作が生じた場合の急性期の治療
・痛風発作を予防するための高尿酸血症の治療
の2つに大きく分かれます。

痛風の発作が生じた場合には、炎症によって激痛と腫れがある状態なので、まずその症状の緩和をはかります。
一般的にできることしては、安静にしてもらうこと、腫れている部分は熱を持っているので氷などで冷やすことです。
痛風発作に用いられる薬は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチン、コルチコステロイドなどの治療になります。


通常はNSAIDsかコルヒチンを用いて関節の炎症の改善をはかり、疼痛コントロールを行います。NSAIDsやコルヒチンを用いても症状の改善がない場合にはコルチコステロイドを用いて治療を行います。

この治療で大切なのはしっかりと発作の症状(炎症)を抑えてあげるということが重要になります。痛風発作の治療をしている期間は炎症を抑えることの治療が主眼になりますので、尿酸を下げる薬の服用は一旦中断する場合もありますが、主治医と相談してください。

高尿酸血症の薬物治療適応ですが、尿酸値が9mg/dLを超える場合、尿酸値が8mg/dLを超えて合併症(腎機能障害、心疾患、尿路結石、高血圧、脂質異常症、耐糖能障害など)がある場合、尿酸値が7mg/dLを超えて痛風発作を起こしたことがある場合には適応になります。

薬物治療に関しては尿酸の産生を低下させる薬、尿酸の排泄を促進する薬に大きく分かれます。
尿酸の産生を低下させる薬は、アロプリノール、フェブキソスタット、ペグロチカーゼがあります。尿酸の排泄を促進する薬はプロベネシドとブコロームとベンズブロマロンがあります。その他に降圧薬のロサルタンと中性脂肪を下げるフェノフィブラートも尿中への尿酸排泄を引き起こします。

目標尿酸値は治療を開始して3~6ヶ月をかけて6mg/dL以下を目指します。また、尿路結石の合併症を予防するために尿のアルカリ化を行うことも重要です。
早朝第一に採取した尿のpHが6.0未満であれば、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合剤などを用いて尿のアルカリ化を測ることも重要になります。

生活習慣の改善について

生活習慣の改善に関しては、まずは体重をコントロールすることが重要です。高尿酸血症の多くの人は、肥満か太り気味です。体重を減らすことだけで尿酸値は下がります。

続いてはアルコール摂取を控えることです。アルコールは尿酸の産生量を増やし、排泄量を減らすように働きます。ビールはプリン体も多いので特に良くないです。続いては水分を多くとることです。

水分をたくさん飲んで尿を増やすと尿とともに尿酸がたくさん排泄され尿酸値が下がります。尿路結石を防ぐ働きもあります。

また野菜を多く食べることも意識すると良いでしょう。野菜を多く食べることで尿がアルカリ性になり、尿路結石ができにくくなります。

そして適度な運動を心がけることです。運動は体重コントロールに重要です。ただし息が切れるほどの激しい運動は逆に尿酸が産生されるので、軽いジョギングや早歩きや水泳などの有酸素運動がいいとされています。

食事で気を付ける点は、プリン体の多い食べ物を控えることです。尿酸の多くは体内に存在するプリン体から作られるので食べ物から摂取するプリン体を減らしてもそれほど尿酸値は下がりませんが、好んでレバーを食べるなどの食習慣をしている人であれば、控えることも効果的です。

最後に、ストレスを溜めないことです。精神的ストレスも尿酸値を上げることがわかっているのでストレスの解消を行うことは非常に重要になります。

 

文責:宮内 隆政

 

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