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新型コロナウイルスCOVID-19のPCR検査について異議あり!

[2020.02.28]

新聞やマスメディアで検査を!検査を!と騒がれていることに確かに不安だろうなあ、という共感と一緒に、

検査について誤解されていないだろうか、という疑問もあります。

 

というのも、

検査は病気や検査の方法をとわず、病歴や診察から事前に有病率(病気があるだろうなあという割合予測)を見積もってから検査をしなければ意味がありません。

そういう意味では、新型コロナウイルスCOVID-19の有病率が低い現時点では濃厚接触者などに絞って検査をおこなうことが効果的です。

 

やってほしい人、全員にやりたいというのは気持ちはわからないでもないのですが、

これからの説明を読んで頂き、理解していただければ、もしかしたら考えが変わるかもしれません。


 新型コロナウイルスCOVID-19に関してはPCRの検査精度が公表されていません。(僕の不勉強かもしれませんが)

検査手段はPCRでなくてもなんでもいいのですが

仮に感度99%、特異度99%の検査であると仮定します。

感度、特異度という言葉が??な人は詳しい説明はこういうサイトでみてほしいのですが、検査の精度をあらわすモノサシです。

感度とは、ある検査が、病気のある人を「陽性」と正しく判定する割合です。

特異度とはある検査が、病気のない人を「陰性」と正しく判定する割合です。

両方とも高いほど正確、と考えてもらってかまいません。

ところが。

各地の診療所や検査できる病院へ長引く発熱、気道症状を有して受診する患者さんが100人集まってきたとしましょう。

各地でいろいろなグループがいるわけです。

 

あるグループは100人中、99人は新型コロナウイルスCOVID-19ではありません。(前もっては分からないのですが)一人だけ本当に新型コロナウイルスCOVID-19の感染者がまじっています。このグループの状態を有病率1%と表現します。

べつのグループは100人中50人が本当の新型コロナウイルスCOVID-19です。(前もって分かるわけではありません)このグループの状態を有病率50%と表現します。

 

まだ症状もでそろっていないので、見た目では区別がつきません。

 

ありえないとは思いますが、もしこうした別々のグループに、よくよく話も聞かず(よくきいたら家族がクルーズ船にいたとか!)診察もろくすっぽせずに(咳は咳でも喘息だったとか)

 

100人全例にこの検査を行った場合

有病率が1%のグループ だと、陽性適中率(検査で陽性とでているけど、その信憑性の割合)は50%です。検査結果は陽性だけど半分は間違っている!

有病率が10%のグループだと、陽性適中率(検査で陽性とでているけど、その信憑性の割合)は90%です。検査結果は陽性だけど、10人に一人は間違って陽性。

有病率が50%のグループなら、陽性適中率(検査で陽性とでているけど、その信憑性の割合)は99%です。検査結果は陽性だけど、100人に一人は間違って陽性。

 

間違って検査結果が陽性とでてしまうことを、偽陽性といいます。

 

新型コロナウイルスCOVID-19で偽陽性の場合、表面的には陽性の判定ですから、周囲への影響は非常に大きくなります

隔離されたり、家族や職場が不安におののいたり、その不安な人がさらに検査を受けようとしたり。ますます不安の波がひろがっていきます。

 

そこで医療の我々は、少なくとも陽性的中率があがるように、病歴、身体初見、重症度などから検査前確率を上げていきます。

しぼりこみして検査するグループの有病率が高くなるようにフィルターをかけています。

 

これは新型コロナウイルスCOVID-19に限らず、すべての検査では当たり前のことです。

たとえばインフルエンザの迅速検査でも幼稚園や学校、家族で発病している人がいるかいないか。

診察して、インフルエンザらしい症状がでているか、でてないか。

検査をすると決める事前の絞り込みが、検査結果の信憑性に大きく影響します。

 

 

新型コロナウイルスCOVID-19に限って言えば、濃厚接触者などに絞って検査を行わなければ、せっかく行った検査でも低い信ぴょう性だったら、

本当は病気でもない人を病気陽性の判定してしまうことになります。

 

ツイッターなどでは、自分が不安なのに検査してもらえなかった、という不安の声もありますが、たぶん検査しないと判断されたのには、判断しただけの理由があるからなのです。

 

不安だからという理由だけで検査すると、病気のない人まで間違って病気と判断されてしまう場合があるのです。

 

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