あなたのワクチンは正しい冷蔵庫に保存されているか
ワクチンをめぐる話はいろいろだ。
でも自分の経験からすると
ほとんどの医師はワクチンに関して、きちんと学ぶチャンスは少ない。
小児科専門医の僕でも、開業してから予防ということに本腰をいれると決意して
いろいろ調べ回ってやっと手に入る情報だから、普通に内科をやっていたらもちろんわからないだろうし
小児科というだけでもなかなかできてないことがある、というのが現実だろう。
たとえばBCGの打ち方だが、いろんな子どもの腕を診察中にみることができる。その時に押されたスタンプの位置や強さは人によってまちまちだ。
これも医師会などが一生懸命無料の動画や冊子を配っているがいまだにきちんとマニュアル通りに接種されてない子どもがいるということは、残念なポイントでもある。
僕が気になるのは、ワクチンの保管について、だ。
クリニックに配達されるまで、ワクチンは業者さんによって徹底的といえるまでの温度管理で運ばれてくる。
しかし、クリニックにはいったあと、ワクチンが適正な温度で管理されているのか、それは大きな疑問だ。
冷凍してしまう医療機関がある。
いまはもうみなくなったが、家庭用冷蔵庫で保管管理している医療機関がある。
家庭用冷蔵庫では温度管理が不可能である、といっていいだろう。
つまりそんなところで保存されたワクチンはもうダメになっていてもおかしくないのだ。
見た目は何も変わりはないから、医療者も患者さんも気が付かない。
しかしお金を払って(あるいは国がたてかえて)せっかく接種したワクチンも中身の確認まではできてない。
自己防衛のためには、きちんと温度管理された設備でワクチンを管理しているかどうか、が鍵となる。
これは患者さんが知りたくても、ワクチン管理の冷蔵庫が裏の動線においてあったりすると永久にわからない。
当院では、処置室に保管管理専用冷蔵庫を設置しており、処置室に入った患者さんなら分かるようにしている。
そこまで意識したことはないと思うけれど、10年くらいしたら厚生労働省もやることがなくなってきて温度管理の測定を義務付けたりしはじめるのではないだろうか、と勘ぐっている。